- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 暮らし >
- 消費者行動 >
- リスク社会における「自助努力」「自己責任」 -リスク意識と消費の成熟化からみた生活保障サービスの方向性-
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1.
現代人を取り巻く生活リスクには様々なものがあるが、「リスク社会」と呼ばれる近代産業社会の中で、個人が自らのリスクへの対応をするように政策が転換されてきた。「自助努力」「自己責任」がそのキーワードとなっている。
2.
家計面におけるリスクマネジメントを考えると、自助努力、自己責任での生活が達成できるのは、主として富裕層である。生活保障サービスを提供する金融機関が富裕層を顧客の中心に据えると、生活者のリスク対応は二極化する恐れがある。
3.
これまで日本人はリスクマネジメントの発想が乏しいといわれていたにもかかわらず、家計リスクへの対応を目的としたサービス商品である「保険」は、順調に市場を拡大してきた。生命保険については、その背景には、生活者のリスク意識から発生する保障ニーズだけでなく、生活者にリスクを想起させることが可能な「訪問販売」方式による営業活動の存在が大きい。
4.
今日の生命保険の加入実態をみると、需要構造の変化が見られる。個人レベルのリスクマネジメントが重視され、生活者の消費についての成熟化が進んだ今、従来の生活保障の商品やサービス以外のニーズが現れ、生命保険市場が変化をし始めたといえる。最近は「安定した収入」についての不安が増加しているが、それに対応可能な保障領域として「ディサビリティ」を取り上げてみた。
5.
生活保障サービス提供機関には、富裕層以外にも目を向け、一般人が自助努力、自己責任で生きていけるような取り組みが求められる。
(2004年09月25日「ニッセイ基礎研所報」)
栗林 敦子
栗林 敦子のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2009/10/23 | 生活価値観からみた家計貯蓄の課題 | 栗林 敦子 | 基礎研マンスリー |
2009/05/25 | 男女のおひとりさま不安 | 栗林 敦子 | 基礎研マンスリー |
2009/03/25 | 金融マーケティングにおけるセグメンテーション -生保加入時の能動的行動に注目して- | 栗林 敦子 | ニッセイ基礎研所報 |
2009/03/25 | 介護不安時代における「暮らし」支援 | 栗林 敦子 | 基礎研マンスリー |
新着記事
-
2025年09月17日
ふるさと納税「お得競争」の終焉-ポイント還元の廃止で問われる「地域貢献」と「持続可能な制度」のこれから -
2025年09月17日
貿易統計25年8月-関税引き上げの影響が顕在化し、米国向け自動車輸出が数量ベースで大きく落ち込む -
2025年09月17日
「最低賃金上昇×中小企業=成長の好循環」となるか?-中小企業に託す賃上げと成長の好循環の行方 -
2025年09月17日
家計消費の動向(二人以上世帯:~2025年7月)-実質賃金改善下でも「メリハリ消費」継続、娯楽支出は堅調を維持 -
2025年09月16日
インド消費者物価(25年9月)~8月のCPI上昇率は+2.1%に上昇、GST合理化でインフレ見通しは緩和
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【リスク社会における「自助努力」「自己責任」 -リスク意識と消費の成熟化からみた生活保障サービスの方向性-】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
リスク社会における「自助努力」「自己責任」 -リスク意識と消費の成熟化からみた生活保障サービスの方向性-のレポート Topへ