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1.
長引く不況の中で、消費者としての高齢者が注目されている。個人消費を増加させる必要から、個人金融資産の多くを握る高齢者に消費を促すという目的のため、高齢者の生活研究の幅が拡大したのである。
2.
多くの勤労者の生活は、60歳前後の定年により、様々な側面で変化するが、何よりも定年は「不安な老後」へ踏み出す時期と認識されてきた。しかし、消費生活を考える上では、老人に到達する以前の「幸せな定年後」に踏み出す時期であると認識を変えなければならない。
3.
本稿では、ポストモダン消費者研究の手法を用い、定年前後世代の生活と価値観をさぐる。ポストモダン消費者研究は、経営実践に資することを目的とした消費者の購買行動を実践的に研究するという従来のマーケティング・パラダイムに対し、1980年代以降に台頭した、消費者のもつ価値観や認識に注目し、主観的に構成される消費経験の意味を探求しようとする試みである。従来の定性・定量調査では到達し得なかった、個人に関わる深い部分での分析が期待できるが、現段階では、消費経験的側面についての解釈と理解をどのように具現化してゆくかについて、試行錯誤が続いている。
4.
今回、試みとして、ポストモダン消費者研究の一手法である「継次的集団面接」を用いて、定年前後世代が描く、「幸せな生活」のイメージについて考察した。これは、同時に方法論の適用及び有効性の検討ともいえる。
5.
定年退職世代を取り巻いてきた社会環境と彼らが育んだ価値観を鑑みるに、この世代は、自分たちの子供や孫世代が今後「大変な時代」を生きていくことに心をくだき、自らのより豊かな生活のために積極的に贅沢をするとか、豊かな生活を維持するために資産の取り崩しをおこなうという意識はない。「老後は、まだ先の話」という彼らは、最後の楽しめる年代として、60代を謳歌している。
(2003年03月25日「ニッセイ基礎研所報」)
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