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- 鈍化傾向が続く移動体通信の新規加入数
■目次
1.移動体通信の加入者数は大幅に鈍化
2.販促費の圧縮が課題
3.早くも第4世代開発投資への動き
■introduction
携帯電話とPHS加入者を合わせた移動体通信加入者数は、2002年3月末で7,482万件となり、人口普及率で約59%に達した。
しかし、新規加入数は昨年後半から鈍化傾向が続いており、全年度末の伸び率(対前年同月比)は過去最低レベルの▲30%台まで落ち込んだ。
動画サービスや第3世代携帯電話の投入で、足下で若干の回復が見られものの、基調としては2001年度後半からの急激な落ち込みに歯止めがかかったとは言いにくい状況である。
欧州市場では普及率が60%を超えると急速に頭打ちとなる例が多いことから(注1)、わが国でも限界点(注2)に近づいたとする見方が多い。
特に大都市部での普及率は7~8割に達しており、新規加入者の獲得はますます難しい状況である。少なくとも、欧州なみに人口普及率が70%台に到達するには、さらに2~3年かかるとみられる。
これまでの移動体キャリア(通信事業者)の高成長は、96~99年の年間1,000万前後の新規加入や、欧米の2倍以上のARPU(Average Revenue per user:ユーザー一人当たりの通信料収入)によって支えられてきた。
しかし、人口普及率が6割に達した現在、今後はかつてのような成長シナリオが描きにくくなっている。
純増数の鈍化に加え、割引プランの普及や、音声から「iモード」などデータ通信へのシフトを背景に、96~98年と比較すると現在のARPUは1,500円以上も減少しており、量的拡大による増収策は手詰まりの状況にある。
第3世代携帯電話の投入は、新規加入を刺激するものとして期待されているが、コンテンツ不足から市場の反応は、今ひとつ鈍いのが実態である。
(2002年05月25日「基礎研マンスリー」)
高橋 敏信
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