- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 労働市場 >
- 流動性の向上が求められる労働市場
コラム
2001年08月06日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1.厳しさ続く雇用情勢
2.労働市場を巡る最近の傾向
このような流動性のない労働市場は、新たに労働市場に参入しようとする若者や何らかの理由で職を失った求職者などには過度に大きな負担を強いることになる。また、わが国経済全体にとっても、より高付加価値を産み出す産業構造への転換が求められる現在のような時期において、流動性のない労働市場を抱えていることは、変革のスピードを遅らせるものとして好ましくない。スムーズな労働力移動を促すような、労働市場の活性化が求められる。
3.労働市場の流動性確保に向けて
労働市場の流動性が損なわれる原因の一つに労働者保護を目的とした法的規制による既存雇用者の解雇コストの高さが挙げられることがある。労働者保護規制などの強化により既存従業員の解雇がしづらくなると、企業は新規採用に一層慎重になり、結果として、労働市場が不活発なものになるとされる。わが国の場合にも、企業による解雇権の行使には法的に(正確には判例によって)厳しい制限が加えられており、このことが、退職金を含む賃金制度や日本的な経営風土などと相俟って、労働市場の流動性を抑制する働きをしてきたものと考えることができよう。
こうした考え方に基づけば、労働市場を活発化させるには、企業の解雇権行使に関する法的制約を緩めることが重要であり、現在、政府が解雇法制に関する検討を行っているのはまさにこうした考え方の反映と思われる。しかしながら、現在のように雇用不安が高まっている時期に、解雇法制の見直しを単独で行うことが適切とは言いがたい。新たな雇用機会の創出や職業紹介機能の向上、教育・訓練制度の充実、労動力の流動化を促すような賃金・退職金制度への移行など総合的な対策が求められよう。
こうした考え方に基づけば、労働市場を活発化させるには、企業の解雇権行使に関する法的制約を緩めることが重要であり、現在、政府が解雇法制に関する検討を行っているのはまさにこうした考え方の反映と思われる。しかしながら、現在のように雇用不安が高まっている時期に、解雇法制の見直しを単独で行うことが適切とは言いがたい。新たな雇用機会の創出や職業紹介機能の向上、教育・訓練制度の充実、労動力の流動化を促すような賃金・退職金制度への移行など総合的な対策が求められよう。
(2001年08月06日「エコノミストの眼」)
末廣 譲凡
末廣 譲凡のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2002/02/04 | 問われる雇用対策の質 | 末廣 譲凡 | エコノミストの眼 |
2002/01/01 | 雇用保護規制と労働市場 | 末廣 譲凡 | 経済調査レポート |
2001/12/25 | 問われる雇用対策の質 | 末廣 譲凡 | 基礎研マンスリー |
2001/12/12 | 短観速報~景況感は更に悪化、設備投資も一段の下方修正 | 末廣 譲凡 | Weekly エコノミスト・レター |
新着記事
-
2025年03月21日
東南アジア経済の見通し~景気は堅調維持、米通商政策が下振れリスクに -
2025年03月21日
勤務間インターバル制度は日本に定着するのか?~労働時間の適正化と「働きたい人が働ける環境」のバランスを考える~ -
2025年03月21日
医療DXの現状 -
2025年03月21日
英国雇用関連統計(25年2月)-給与(中央値)伸び率は5.0%まで低下 -
2025年03月21日
宇宙天気現象に関するリスク-太陽フレアなどのピークに入っている今日この頃
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【流動性の向上が求められる労働市場】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
流動性の向上が求められる労働市場のレポート Topへ