- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 地球環境問題から見た経済発展とエネルギー消費
<要旨>
- 日本のエネルギー消費は経済成長とともに増加してきたが、第1次石油ショック前後を境に増加テンポは穏やかになっている。エネルギー消費の増加率を「1人当たり実質GDP」「人口」「エネルギー消費効率(エネルギー消費のGDP原単位)」の変化率に分解すると、70年代代半ば以降のエネルギー消費の伸び鈍化がエネルギー消費効率の改善によってもたらされていることがわかる。
- 日本のエネルギー消費効率の変化を産業面から捉えると、消費効率の改善の著しい産業部門のGDPウエイ卜が高まり、消費効率が悪化ないしほとんど改善していない産業のGDPウエイトが低下していることに呼応している。その結果、マクロ的な「エネルギー消費のGDP原単位」は先進国の中でも一、二を争う程低い水準となっている。
- OECD24ヶ国のエネルギー消費効率の長期的推移を観察すると、所得水準の低いうちは、所得の増加とともに効率が悪化するが、ある程度の所得水準に達すると効率が改善するという共通の変化のパターンが存在する。
その転換点は、1人当たり実質GDP7千ドル程度であることが計量分析から示唆される。 - エネルギー消費効率に対するエネルギーの相対価格変化の影響度も所得水準によって異なり、1人当たり実質GDPが7千ドル程度に達するまでは影響力は相対的に小さい。従って、炭素税に代表されるエネルギー課税を世界各国共通の税率で実施した場合、途上国には所得分配の面から配慮が必要となるだけでなく、効果の点でも大きな期待はできない。税制の有効活用をはじめ、エネルギー消費に関しては先進国が一層改善すべき余地が残されている。
このレポートの関連カテゴリ
石川 達哉
研究・専門分野
ソーシャルメディア
新着記事
-
2022年05月27日
2022年4~5月の自社株買い動向~発行済株式総数に対する割合と株価の関係~ -
2022年05月27日
2022年度診療報酬改定を読み解く(下)-医療機能分化、急性期の重点化など提供体制改革を中心に -
2022年05月27日
中国経済の見通し-岐路に立つコロナ政策、22年は4.2%と予想も、下方リスクが燻ぶり、ポジティブ・サプライズもあり得て、目が離せない -
2022年05月26日
欧州大手保険Gの2021年の生命保険新契約業績-商品タイプ別・地域別の販売動向・収益性の状況- -
2022年05月26日
Japan’s Economic Outlook for Fiscal 2022 and 2023 (May 2022)
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2022年05月17日
News Release
-
2022年04月21日
News Release
-
2022年04月04日
News Release
【地球環境問題から見た経済発展とエネルギー消費】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
地球環境問題から見た経済発展とエネルギー消費のレポート Topへ