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1993年03月01日
ソルベンシー概念と生保ALM
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<要旨>
- 平成4年6月に出された保険審議会答申では、保険会社の財務的健全性を強化するために、ソルベンシー・マージンの概念が初めて導入され、生保会社のリスク管理において中心的な役割を担うことになった。しかしながら、その定義の抽象性もあって具体的なイメージを描くことが難しい概念でもある。このレポートでは、欧米の生保会社で採用されているソルベンシー・マージンの考え方の発展過程を歴史的に辿るとともに、現状における考え方の整理を行う。
- 保険会社には保険契約債務を履行するための負債として責任準備金という概念がある。ソルベンシー・マージンは、責任準備金を超えて会社が保有すべき支払余力と定義されている。従って、ソルベンシー・マージン概念を明らかにするためには、責任準備金の概念との関係整理が必要となる。
- 責任準備金の規制は各国でそれぞれ異なった考え方を採っているため、ソルベンシー・マージンの概念を確立する上で一つの障害となっている。しかしながら、損害保険分野では、北欧を中心にして危険論を利用したソルベンシー研究が進み、その概念も徐々に発展してきた。その後、生命保険については、イギリス等を中心にソルベンシー研究が進められた。この結果、明らかになったことは、特に生保においては資産運用リスクの影響が大きいため、資産の価格変動を表現するモデルによる分析が不可欠だということである。
- 米国の生保でも、1970年代後期から、生保業界の収益悪化もあってソルベンシー分析理論の深化・発展が見られた。特に、金利感応型生保商品の販売により金利リスク管理が大きな経営上の課題となり、その分野の研究と実務への適用が鋭意、進められてきた。この流れが発展し、現在ではキャッシュフロー・ベースによるALMの概念が定着するようになっている。これにはファイナンス理論の発展が手伝っているが特にモーゲージ関連商品の評価理論と親近性が強い。
- 生保のリスク管理やALMは銀行に比較して非常に難しい面がある。それは生保の資産・負債のキャッシュフローに作用するリスクが多様で、かつ複雑に絡みあっていることも原因の一つである。従って、生保ALMが成功するためには、それらのリスクをいかに整理し、モデル化(定量化)するかが重要なポイン卜になる。
(1993年03月01日「調査月報」)
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田中 周二
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