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- シングル・ペアレン卜・ファミリーが抱える問題
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■見出し
1.はじめに
2.家族構成の変化
3.シングル・マザーが抱える問題
4.子供達が抱える問題
5.結論
■はじめに
1992年に最も取り上げられた話題の一つといえば、「家族の価値(ファミリーバリュー)」があげられよう。昨春のロサンゼルス暴動の際などには、家族の崩壊こそが大都市の混乱のそもそもの原因であると指摘する人々も現れ、またブッシュ前大統領も、大統領選挙戦の討論の場で、「大都市の市長は、ロサンゼルス市長も含め、アメリカ都市部の衰退の原因はアメリカン・ファミリーの衰退であると認めた」と発言した。
この話題にからんでもっとも論争の的となったのは、「親がひとりの家庭(シングル・ペアレント・ファミリー)」であった。というのも、クエール前副大統領が昨年5月にテレビの人気番組、「マーフィーブラウン(Murphy Brown)」を取り上げて、この番組は家族の価値を「落としめ」、またハリウッドが作り上げた主人公マーフィーブラウンは、シングル・ペアレントの人生がいかにも素晴らしい人生のようにみせかけたと攻撃したからである。
マス・メディアのクエール氏に対する反応は、予想外に批判的であった。なかには、クエール氏のコメントの意義がきちんと報道されていないと指摘する社説もありはしたが、大多数の記事は、家族を維持しようとするシングル・ペアレントの努力に対する非難であると主張した。
マーフィーブラウンは、中年で、高学歴かつ子供を養うに足るだけの収入がある職業人という設定であるが、あくまでドラマはドラマである。もし、大多数のシングル・ペアレントがマーフィーブラウンのように高収入のテレビ局特派員であったなら問題はないのであろうが、実際には彼女のように高収入のシングル・ペアレントはわずかにすぎない。ある統計によれば、アメリカのシングル・ペアレントの約半分は貧しい生活を送っているという。また、経済的な問題以外にも、シングル・ペレントが頭を悩ますものに、例えば、仕事と育児の両立という問題がある。さらに、親がひとりしかいない家庭で育った子供は、両親がそろった家庭で育った子供よりも、健康不良、行動異常がより頻繁に見られ、学校での成績も悪いと論じている研究もある。
昨年9月から始まった新シリーズの中で、マーフィーブラウンは、皮肉たっぷりに、シングル・ペアレントであることは、単に別の生き方の選択にすぎないと謳いあげたが、果たして、シングル・ペアレントであることは、本当に幸せな生き方といえるのであろうか。また、賢い選択と言えるのだろうか。答えはあくまで読者にお任せするとして、本稿では、この質問に答えるための材料として、シングル・ペアレント・ファミリーに見られる問題を明らかにしてみようと思う。
(1993年01月01日「調査月報」)
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勞 小君
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日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
1993/01/01 | シングル・ペアレン卜・ファミリーが抱える問題 | 勞 小君 | 調査月報 |
1992/01/01 | ファイナンシャル市場におけるマーケットコンセンサス | 勞 小君 | 調査月報 |
1990/09/01 | 米国経済超短期モデル予測 | 勞 小君 | 調査月報 |
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