- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 首都圏の地域構造の変容について ―メトロポリスからメガシティへ ―
1991年08月01日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
<要旨>
- 首都圏は人口規模2,890万人を擁する東京圏を含む我が国最大の都市圏であるが、他の圏域が未だ経験したことのない巨大都市ステージとも呼べる新たな都市化のステージに入っている。首都圏を論ずるには新たな都市概念が必要になってきているという問題意識の下、この圏域で進展している新たな都市化プロセスの把握を試み、首都圏の今後の都市化の動向を考察したものである。
- 都市は一般的にその存立基盤として周辺地域を始め外部地域に対する各種の財やサービスの供給機能を持つが、現在この機能を軸に都市間の多様な機能分化と機能連担が進み、その結果都市間の機能的ネットワークが一層強化される中で大都市圏が形成されてきている。本稿はこの機能分化と機能連担の進展に着目して昭和40年代以降現在までの首都圏の都市化プロセスを考察した。
- 具体的には、首都圏内各都市(162都市)の産業構造の特化と機能連担の状況を、産業特化係数を用いて因子分析によって考察し、次に各都市の因子得点に基づく都市分類を行い、次の8つの都市類型を抽出した。
C1:業務・地域中心都市
C2:近郊業務・住宅都市
C3:近郊工業・住宅都市
C4:近郊人口急増都市
C5:地方中小拠点都市
C6:C1競合都市・鉱業都市
C7:軽工業地場産業都市
C8:工業・地域中心都市 - さらに、上記各都市類型の地域分布の時系列変化および各都市の特性変化の考察から、首都圏は、(1)東京圏(既成市街地+近郊整備地帯)、(2)東京圏縁辺部ゾーン、(3)地方中核都市圏ゾーンの3つの都市圏域から構成されること、また東京圏は昭和50年代後半以降、従来のメトロポリス:一極集中型都市構造から、メガシティー:一極+α極型都市構造とでも言うべき新たな都市化のステージに入ったことを仮説として呈示し、巨大都市時代の都市成長管理・整備方策の議論のためには、新たな都市概念とそれに基づく都市像の構築が必要であることを問題提起した。
(1991年08月01日「調査月報」)
このレポートの関連カテゴリ
長田 守
長田 守のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2005/07/25 | アフガニスタン復興と地方開発の役割 | 長田 守 | 基礎研マンスリー |
1997/09/25 | 情報化と都市構造の変化 -ネットワーク時代の新たな都市像- | 長田 守 | ニッセイ基礎研所報 |
1996/10/01 | 東京と東アジアの国際的都市連携の進展 | 長田 守 | 調査月報 |
1995/08/01 | ポスト巨大都市時代に向かう東京 -多元都市システム構築への試論 (その3)都市づくり理念の見直しと多元都市システム構築への試論 | 長田 守 | 調査月報 |
新着記事
-
2025年05月02日
金利がある世界での資本コスト -
2025年05月02日
保険型投資商品等の利回りは、良好だったが(~2023 欧州)-4年通算ではインフレ率より低い。(EIOPAの報告書の紹介) -
2025年05月02日
曲線にはどんな種類があって、どう社会に役立っているのか(その11)-螺旋と渦巻の実例- -
2025年05月02日
ネットでの誹謗中傷-ネット上における許されない発言とは? -
2025年05月02日
雇用関連統計25年3月-失業率、有効求人倍率ともに横ばい圏内の動きが続く
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【首都圏の地域構造の変容について ―メトロポリスからメガシティへ ―】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
首都圏の地域構造の変容について ―メトロポリスからメガシティへ ―のレポート Topへ