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■見出し
1.はじめに
2.「しあわせ」分析の前提
3.幸福の構造-幸福になるために重視すること
4.幸福の充足感
5.幸福ニーズの分析
6.ビジネスマンの幸福へのアプローチ
■はじめに
「最近の我が国の経済成長が順調であるのに比して、国民がそれに見合った豊かさの実感をもっていない」という昭和63年国民生活白書に象徴されるように、生活における「豊かさ」や「ゆとり」に関する議論が数多く行われている。また、「豊かな○○」、「ゆとりの○○」というような広告表現もより頻繁に見受けられるようになった。とりたてて珍しくもない「豊かさ」や「ゆとり」といった言葉が、今や「時代のキーワード」になっているように思われる。私たち日本人は昔から―欧米先進国との相対的な比較の下で「豊かさ」や「ゆとり」を求めて走り続けてきた。しかし、所得水準で見る限り世界の中でも上位に位置づけられるようになった今、これらの概念について再考しゴールを設定し直す時期にきていると、国民誰もが感じ始めているのはないだろうか。
さて、近頃のこれらの議論で中心となっているのは、豊かさやゆとりの「質」である。「物から心へ」といわれるように、物質的な豊かさが充足されつつある今、それに加えて心理的な充足感が得られるような何かが求められている。それに対して、国や自治体の政策あるいは企業のマーケティングなど幅広い方面で、真に人々の「心を満たす」とはどういうことなのか、研究が行われている。
そこで、新しいコンセプトの「物心両面の『豊かさ』や『ゆとり』」がゴールとして設定されたとしよう。それがいつの日か達成出来た時、果たして人間は「幸福である」と感じるのであろうか。
慶応大学の川原哲夫教授は、著書「『豊かさ』人間の時代」の中で、豊かさと幸福に関して次のように述べている。
―「基礎的なところで五感の欲求水準と現実とのギャップがうまらなくなる心配をしなくてもよい豊かな時代」になると、人々は人為的にそのギャップを作りだし、そのギャップをうめて楽しみ始める。
つまり、あまり豊かではなかった時代―欲求(期待)水準が低かった時代には、「ギャップが発生しない状態」が「しあわせ」な状態であった。しかし、今のように豊かな時代になり、更に「快」であることを求めて人為的に欲求(期待)水準を引き上げた場合には、「いつでもギャップがうめられる状態」が「しあわせ」な状態なのである。
したがって、「『しあわせ』になるためにすべきこと」とは、どのようにでも変化する個人個人の欲求のレベルと、これもまた絶えず変化する個人の満足感のギャップをうめるための手段を、いつでも手にいれられる状態にしておくことである。その手段とは、社会や経済、科学技術等を含めた、人間の生活をとりまく環境の全てであるといってもいいであろう。
本稿は、現代日本の経済的「豊かさ」を支えるビジネスマンの意識にある広範な「しあわせ(幸福)」の手段のうち、非常に身近ないくつかの要素を分析することによって、彼らの真の幸福ニーズ―幸せのために何が必要かの把握を試みたものである。なお、分析は1989年1月に実施した「ニッセイ・ビジネスマン・アンケート」をもとにしている。
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栗林 敦子
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