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- 貿易統計15年10月~季節調整値の貿易収支は赤字が継続
2015年11月19日
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1.季節調整値の貿易収支は赤字が継続
財務省が11月19日に公表した貿易統計によると、15年10月の貿易収支は1,115億円と7ヵ月ぶりの黒字となり、事前の市場予想(QUICK集計:▲2,700億円、当社予想は▲450億円)を大きく上回った。輸出が前年比▲2.1%(9月:同0.5%)と1年2ヵ月ぶりに減少したが、原油価格の大幅下落を主因として輸入が前年比▲13.4%(9月:同▲11.0%)と前月に続き二桁の大幅減少となったため、貿易収支は前年に比べ8,532億円の改善となった。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比▲4.6%(9月:同▲3.9%)、輸出価格が前年比2.5%(9月:同4.6%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比▲3.8%(9月:同▲2.0%)、輸入価格が前年比▲10.0%(9月:同▲9.3%)であった。

10月の貿易収支は原数値では7ヵ月ぶりの黒字となったが、季節調整値では▲2,023億円の赤字(9月は▲3,098億円の赤字)となった。輸出が前月比0.6%と4ヵ月ぶりに増加する一方、原油価格の下落などから輸入が前月比▲1.1%と3ヵ月連続の減少となった。貿易収支には季節性があるため、実勢を判断するためには季節調整値を用いることが適切である。季節調整値の貿易収支は東日本大震災が発生した11年3月以降、約4年半にわたって赤字が続いている。
また、輸入の大幅減少の主因は原油価格下落によるものだが、輸入数量の落ち込み幅も前月より拡大している。今年の10月は平日の数が昨年よりも1日少なく、通関日数が少なかったことも影響している可能性があることには留意する必要がある。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比▲4.6%(9月:同▲3.9%)、輸出価格が前年比2.5%(9月:同4.6%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比▲3.8%(9月:同▲2.0%)、輸入価格が前年比▲10.0%(9月:同▲9.3%)であった。

10月の貿易収支は原数値では7ヵ月ぶりの黒字となったが、季節調整値では▲2,023億円の赤字(9月は▲3,098億円の赤字)となった。輸出が前月比0.6%と4ヵ月ぶりに増加する一方、原油価格の下落などから輸入が前月比▲1.1%と3ヵ月連続の減少となった。貿易収支には季節性があるため、実勢を判断するためには季節調整値を用いることが適切である。季節調整値の貿易収支は東日本大震災が発生した11年3月以降、約4年半にわたって赤字が続いている。
また、輸入の大幅減少の主因は原油価格下落によるものだが、輸入数量の落ち込み幅も前月より拡大している。今年の10月は平日の数が昨年よりも1日少なく、通関日数が少なかったことも影響している可能性があることには留意する必要がある。
2.主要3地域向けの輸出数量は堅調
10月の輸出数量指数を地域別に見ると、米国向けが前年比▲5.8%(9月:同▲4.7%)、EU向けが前年比3.3%(9月:同2.1%)、アジア向けが前年比▲2.3%(9月:同▲4.2%)となった。季節調整値(当研究所による試算値)では、米国向けが前月比0.5%(9月:同4.4%)、EU向けが前月比5.7%(9月:同3.6%)、アジア向けが前月比2.3%(9月:同2.4%)、全体では前月比1.2%(9月:同▲1.3%)となった。
9月、10月と主要3地域向けは堅調だったが、中南米、ロシアなどその他地域が低調だったため輸出数量全体としては引き続き横ばい圏の動きにとどまっている。なお、下振れリスクが高いと考えていた中国向けの輸出数量が前年比▲1.1%(9月:同▲5.8%)と減少幅が縮小(当研究所の季節調整値では9月が前月比3.4%、10月が同2.9%)し、持ち直しの兆しが見られることは明るい材料と言えるだろう。
(2015年11月19日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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