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2024年03月11日
ドイツの民間医療保険及び民間医療保険会社の状況(2)-2022年結果-
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1―はじめに
前回のレポート「ドイツの民間医療保険及び民間医療保険会社の状況(1) -2022年結果-」(2024.3.5)では、以前の保険年金フォーカス「ドイツの民間医療保険及び民間医療保険会社の状況(1)-2021年結果-」(2023.4.11)について、2022年ベースの数値に更新する形で、民間医療保険の普及状況について報告した1,2。
今回のレポートでは、「ドイツの民間医療保険及び民間医療保険会社の状況(2)-2021年結果-」(2023.4.14)について、2022年ベースの数値に更新する形で、民間医療保険会社の市場シェア、経営効率及び財務面の状況について報告する。
1 ドイツの医療保険制度全体の概要及びその中での民間医療保険の位置付けや各種の制度の具体的な内容(公的医療保険と民間医療保険の課題、民間利用保険の収支構造(保険料調整の仕組み等)等については、基礎研レポート「ドイツの医療保険制度(1)~(3)」(2016.3.15~2016.4.18)を参照していただきたい。
2 以下の図表については、基本的には、ドイツ保険協会(GDV)の「Statistical Yearbook of German Insurance 2021」及び民間医療保険連盟(PKV)の「Zahlenportal: www.pkv-zahlenportal.de」からの数値に基づいている。両者の数値は必ずしもベースが同じにはなっていない。また、PKVをデータ・ソースとするGDVの資料についても、GDVの資料に基づく、としている。なお、GDVの資料で必ずしも数値の整合性が取れていないと思われるものについても、原資料の数値を尊重した。
今回のレポートでは、「ドイツの民間医療保険及び民間医療保険会社の状況(2)-2021年結果-」(2023.4.14)について、2022年ベースの数値に更新する形で、民間医療保険会社の市場シェア、経営効率及び財務面の状況について報告する。
1 ドイツの医療保険制度全体の概要及びその中での民間医療保険の位置付けや各種の制度の具体的な内容(公的医療保険と民間医療保険の課題、民間利用保険の収支構造(保険料調整の仕組み等)等については、基礎研レポート「ドイツの医療保険制度(1)~(3)」(2016.3.15~2016.4.18)を参照していただきたい。
2 以下の図表については、基本的には、ドイツ保険協会(GDV)の「Statistical Yearbook of German Insurance 2021」及び民間医療保険連盟(PKV)の「Zahlenportal: www.pkv-zahlenportal.de」からの数値に基づいている。両者の数値は必ずしもベースが同じにはなっていない。また、PKVをデータ・ソースとするGDVの資料についても、GDVの資料に基づく、としている。なお、GDVの資料で必ずしも数値の整合性が取れていないと思われるものについても、原資料の数値を尊重した。
2―民間医療保険会社の状況(1)-市場シェア-
ここでは、民間医療保険会社の市場シェアの状況について報告する。なお、一部のデータは2021年末が直近で得られる最新のデータになっている。
2|会社形態
2021年末の46社のうち、26社が株式会社で20社が相互保険組合3である。2018年から2019年にかけて、株式会社数が1社増加し、相互保険組合数が1社減少している。また、2021年における前者と後者の保険料ベースでの市場シェアはそれぞれ62.4%、37.6%となっている。
2000年との比較では、株式会社及び相互保険組合とも、その数は減少している。なお、保険料シェアでは、株式会社がほぼ毎年シェアを高めてきており、2019年には株式会社数が1社増加し、相互保険組合数が1社減少したことの影響により、株式会社のシェアが4.3%ポイントと大きく増加したこともあり、2020年までの20年間で10.0%ポイント増加させていた。ただし、2021年は2020年に比べて、株式会社の保険料シェアが0.6%ポイント低下した。
2021年末の46社のうち、26社が株式会社で20社が相互保険組合3である。2018年から2019年にかけて、株式会社数が1社増加し、相互保険組合数が1社減少している。また、2021年における前者と後者の保険料ベースでの市場シェアはそれぞれ62.4%、37.6%となっている。
2000年との比較では、株式会社及び相互保険組合とも、その数は減少している。なお、保険料シェアでは、株式会社がほぼ毎年シェアを高めてきており、2019年には株式会社数が1社増加し、相互保険組合数が1社減少したことの影響により、株式会社のシェアが4.3%ポイントと大きく増加したこともあり、2020年までの20年間で10.0%ポイント増加させていた。ただし、2021年は2020年に比べて、株式会社の保険料シェアが0.6%ポイント低下した。
3 英語の「mutual insurance association」の翻訳であるが、「共済組合」との翻訳も考えられる。
3―民間医療保険会社の状況(2)-経営効率-
ここでは、民間医療保険会社の各種の経営効率の状況について報告する。
その性格上、医療保険制度改正の影響を受ける可能性もかなりあるが、基本的には、比較的安定的な損害率や収益率を挙げてきている状況にあるといえる。
2|事業費率
上記の右の図表が、事業費率のうちの新契約費率と維持費率4 を示している。新契約費率は低下傾向にあった中で、2018年、2019年と若干増加した。2020年は再び低下したが、2021年、2022年と増加している。これに対して、維持費率は2021年まで低下してきたが、2022年は若干増加している。
このように、民間医療保険会社は、過去から事業費効率の改善を図ってきているが、ここ数年は低下傾向が落ち着いて、反転の兆しも現れている。
4 新契約費には、ブローカーへの手数料を含む保険契約締結時に発生する全ての経費が含まれる。維持費には、保険契約の維持管理に関わる全ての経費が含まれるが、新契約費と給付金支払手数料等のサービス処理に伴う経費は含まれない。
上記の右の図表が、事業費率のうちの新契約費率と維持費率4 を示している。新契約費率は低下傾向にあった中で、2018年、2019年と若干増加した。2020年は再び低下したが、2021年、2022年と増加している。これに対して、維持費率は2021年まで低下してきたが、2022年は若干増加している。
このように、民間医療保険会社は、過去から事業費効率の改善を図ってきているが、ここ数年は低下傾向が落ち着いて、反転の兆しも現れている。
4 新契約費には、ブローカーへの手数料を含む保険契約締結時に発生する全ての経費が含まれる。維持費には、保険契約の維持管理に関わる全ての経費が含まれるが、新契約費と給付金支払手数料等のサービス処理に伴う経費は含まれない。
(2)運用利回り
昨今の低金利環境を反映して、運用利回りは低下してきている。2019年は3.23%と若干反転した後、2020年は2.83%に低下し、2021年は再び2.92%に反転していたが、2022年は2.27%と対前年0.65%ポイントと大きく低下している。
なお、ドイツの保険監督当局のBaFinの2022年のAnnual Reportによれば、2022年末の正味含み損益は▲194億ユーロ(2021年末は516億ユーロの含み益)となっている。
昨今の低金利環境を反映して、運用利回りは低下してきている。2019年は3.23%と若干反転した後、2020年は2.83%に低下し、2021年は再び2.92%に反転していたが、2022年は2.27%と対前年0.65%ポイントと大きく低下している。
なお、ドイツの保険監督当局のBaFinの2022年のAnnual Reportによれば、2022年末の正味含み損益は▲194億ユーロ(2021年末は516億ユーロの含み益)となっている。
4|その他の重要指標
民間医療保険連盟の資料によれば、上記に加えて、例えば、以下の比率が重要指標として掲げられている。ここに、RfB(Rückstellung für Beitragsrückerstattung:Provision for bonuses and rebates)は、保険料の償還や将来の保険料水準の増加の軽減等に使用されるための準備金である。
「RfB比率(Refinancing[RfB] ratio)」は、RfB残高を総収入(earned gross revenues)で除して得られる比率であり、会社が将来の保険料水準の軽減を提供するための追加ファンドの積立率を示している。
「RfB充当比率(Refinancing[RfB] appropriation ratio)」は、RfBへの繰入れを総収入で除して得られる比率であり、総収入のうちのどの程度が、保険料水準の軽減や現金償還を提供するための将来の手段のファイナンスのためにRfBに充当されるのかを示している。
「RfB引出し比率 (Refinancing[RfB] withdrawal ratios)」は、現金償還と一時金償還の2つの指標に区分され、それぞれRfBからの全体の償還のうちの現金及び一時金での償還の割合を示している。
「準備金比率(Provision ratio)」は、総収入のうちのどの程度が老齢化のための準備金(老齢化積立金、RfB、保険監督法第150条第4項に従う保険料への使用)に繰り入れられているのかの割合を示している。
これらの重要指標の過去からの推移は、以下の通りとなっている。
民間医療保険連盟の資料によれば、上記に加えて、例えば、以下の比率が重要指標として掲げられている。ここに、RfB(Rückstellung für Beitragsrückerstattung:Provision for bonuses and rebates)は、保険料の償還や将来の保険料水準の増加の軽減等に使用されるための準備金である。
「RfB比率(Refinancing[RfB] ratio)」は、RfB残高を総収入(earned gross revenues)で除して得られる比率であり、会社が将来の保険料水準の軽減を提供するための追加ファンドの積立率を示している。
「RfB充当比率(Refinancing[RfB] appropriation ratio)」は、RfBへの繰入れを総収入で除して得られる比率であり、総収入のうちのどの程度が、保険料水準の軽減や現金償還を提供するための将来の手段のファイナンスのためにRfBに充当されるのかを示している。
「RfB引出し比率 (Refinancing[RfB] withdrawal ratios)」は、現金償還と一時金償還の2つの指標に区分され、それぞれRfBからの全体の償還のうちの現金及び一時金での償還の割合を示している。
「準備金比率(Provision ratio)」は、総収入のうちのどの程度が老齢化のための準備金(老齢化積立金、RfB、保険監督法第150条第4項に従う保険料への使用)に繰り入れられているのかの割合を示している。
これらの重要指標の過去からの推移は、以下の通りとなっている。
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