2019年05月09日

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元号とは、決して単なる年を数えるためのものだけではないだろう。「昭和」では、未曾有の大戦争を経験した後、焦土となった日本は復興から高度経済成長という強い成功体験を経た。続く「平成」では、平和憲法の下、戦争に巻き込まれることもなかったが、経済的には、バブル経済のピークから崩壊を経て、経済成長の鈍化とデフレの持続が顕著となった。このように元号が変わることを、時代の境目として見ることも出来るのではないか。

これから迎える「令和」の時代を、悲観視すべきではない。人口の高齢化が進み絶対数が減る中では、高い経済成長は期待し難い。しかし、技術革新や移民の受入、労働参加率の引上げ等によって経済が縮小均衡に陥ることは防げるはずである。そのためには、日本全体がもっと魅力的な存在になる必要があるだろう。将来を見据えた子育て支援等少子化対策の充実も、言わずもがなである。

年金についても、将来に向けて広く国民の老後を支えるためのあり方を考えることが、この時代に生きる私たちの責任であろう。財政赤字と人口動態という二つの大きな宿痾を抱える中で、公的年金がどのように維持できるのか。そして、私たち自身が民間の立場でどれくらいを担うことができるのか。状況や立場が各々異なる中で、なるべく普遍的な解答を探し見つけたいものである。
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(2019年05月09日「ニッセイ年金ストラテジー」)

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