2018年10月03日

ガバナンスはすべての組織にとっての課題

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日本の年金運用においても、ようやくESG投資が定着しつつある。必ずしも超過収益の源泉とはなっていない可能性が高いものの、投資先企業のサステナビリティを確保し、長期的な投資を実施するという意味において、重要な視点だと理解するべきだろう。

しかし、ESGを単に投資におけるコンセプトと狭く解するのは、誤りかもしれない。S(社会)の要素は、サステナビリティの観点から重要であり、更に、最近の報道で俎上に上るG(ガバナンス)の要素は、喫緊の課題であると認識しておくべきであろう。

今年度前半に話題となったスポーツ団体での不祥事の多くは、組織の健全性が失われる中で、顕在化したものが少なくない。適切な外部によるチェックの不在と組織・担当の正当性が問題になるような事例が見られた。これは、スポーツに限らず、あらゆる組織に対し突き付けられているガバナンスの問題と考えられる。

ガバナンスの高度化に向けて求められるのは、意思決定の透明性(例:多数決による議決手続の導入)、情報開示の充実(例:課題や決定事項の関係者に対する周知)、担当者の適格性(例:不当に長い在任や情実人事の排除)などである。金融庁の取組みを見ると、決して年金基金にとって対岸の火事で済ませられるものではない。

(2018年10月03日「ニッセイ年金ストラテジー」)

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