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景気ウォッチャー調査(18年7月)~猛暑奮わず、西日本豪雨が景況感を下押し~
白波瀨 康雄
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1.景気の現状判断DI(季節調整値): 1年10ヵ月ぶりの低水準
今回の調査では家計動向関連、企業動向関連、雇用関連の全てで現状判断DIが低下したが、特に、家計動向関連は大幅に悪化した。猛暑がコンビニや家電量販店での売上増加に寄与した一方で、レストランやレジャー施設などでは外出を控える消費者が多く、来客数が伸び悩んだ。また、西日本豪雨により中国・四国地方に限らず、ホテルの予約キャンセルなど旅行を取りやめる動きがみられた。企業動向関連では、中国・四国地方では、企業の設備への被害や物流網の寸断など影響が出ているが、全体としては好調な受注が続いている。雇用関連は企業の採用意欲は高いが、なかなか人材を採用できない企業もみられる。なお、内閣府は、基調判断を「緩やかな回復基調が続いているものの、平成30年7月豪雨によるマインド面の下押しもあり、引き続き一服感がみられる」とした。
2.猛暑、西日本豪雨により、家計動向関連のサービス関連が大幅に悪化
企業動向関連では、製造業(前月差+0.8ポイント)は改善したが、非製造業(同▲1.2ポイント)は悪化した。コメントをみると、「物件の動きが活発化してきており、受注状況は好調といえる。心配なのは処理能力や原材料価格の高騰がどのような悪影響を及ぼすかである」(東海・金属製品製造業)など、コスト上昇が懸念されてはいるが、受注は好調を維持しているようだ。また、「平成30年7月豪雨の影響で、事務所や工場、車両や機械等に被害を受けた取引先があり、道路や鉄道の毀損で貨物物流量も減少している。また、同業者団体の催事等も開催中止が相次ぎ、心理的にも停滞感が出てきている」(中国・会計事務所)など、中国・四国地方では、企業の設備への被害や物流網の寸断など企業活動に影響が出ている。
雇用関連では、「企業においては人手不足感が強く、求人件数、求人数共に増加傾向は変わらない」(東北・職業安定所)など、引き続き企業の採用意欲は旺盛であるなか、「人材不足が特に中小企業で深刻である。募集を行っても人材が充足できることはまれな状態が慢性化しており、疲弊している企業が多い」(四国・求人情報誌)など、人材を採用するのに苦労している企業もみられる
3.景気の先行き判断DI(季節調整値):節目の50を境に一進一退の動き
企業動向関連では、「新規取引先ができて、単価面でもとても良く、受注量も多くなっているので、今後が楽しみである」(北関東・金属製品製造業)や「国内、欧米市場共に活発な引き合いがあり、今後も期待できる」(北陸・一般機械器具製造業)など、受注が好調な企業が目立つ。一方で、「原材料、物流費、人件費が高騰し、秋口の値上げに向けての営業活動をしているが、市場価格帯や市場動向に対して大変苦戦しており、粗利を含めて売上を確保することが厳しくなる」(中国・食料品製造業)など、コスト増加による価格転嫁が十分に進んでいない企業もみられる。
雇用関連では、「求職者に選ばれるよう、企業側も条件の緩和などで努力をしており、求職者が働きやすい環境になっている」(近畿・求人情報誌製作会社)など、人材確保のため労働条件の向上に努める企業もみられる。
景況感は2018年に入り停滞している。7月は西日本豪雨が景況感を下押したが、今後は復旧が進むことで徐々にマインドが回復に向かうと考えられる。熊本地震が発生した2016年4月、九州の現状判断DIは▲13.1ポイント低下したが、その後3ヵ月で震災前の水準まで回復した。また、猛暑は景況感の改善に繋がると期待されてきたが、7月は記録的な暑さにより外出を手控える消費者もみられた。天候不順によって野菜価格も足元で上昇してきており、猛暑が続けば景況感改善が遅れる可能性もあるだろう。
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(2018年08月09日「経済・金融フラッシュ」)
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