2018年08月03日

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2016年の簡易生命表によれば、男女の平均寿命はそれぞれ81歳、87歳に達し、男性では60人に1人、女性なら15人に1人が100歳まで生きると言う。人生100年時代の到来が叫ばれている。

しかし、忘れてならないのは高齢者の余命の厳然とした格差だ。同じ生命表から、2016年に22歳で大学を卒業した、男女50人ずつの同級生を想定すると、65歳までに亡くなるのは、100人のうち8人に過ぎない。仲間のほとんどが65歳の同窓会に出席できる。ところがその後、73歳までに8人、さらに78歳までには次の8人が亡くなっていく。65歳を過ぎると、毎年の同窓会のたびに歯が抜けていくように誰かがいなくなるのである。ところが他方で、最後の8人は98歳でも生きている。

このように人生100年を目指す高齢者が増えても、65歳、70歳で亡くなる方は相当数存在している。年齢だけで一律に「65歳はまだ若い」などとは断言できない。平均余命が伸びるにつれ、高齢者の置かれている状況はさらに千差万別になっているのであり、支給開始年齢の自由な選択など、多様なニーズに対応できるかどうかが、年金を含む社会保障制度の課題となっている。
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(2018年08月03日「ニッセイ年金ストラテジー」)

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【余命にみる高齢者の多様性】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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