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- 景気ウォッチャー調査(18年6月)~景況感は停滞した状況が続く~
1. 景気の現状判断DI(季節調整値):景況感は停滞した状況が続く
家計動向関連では、天候に恵まれて小売店では客数が増え、消費意欲も高かった一方で、飲食店では依然客数が伸び悩んでいる。企業動向関連では、好調が続く受注だが、一部の企業からは受注の落ち込みがみられる。また、原材料費や人件費の増加により収益が圧迫しており、広告費を削減する企業もみられる。雇用関連は企業の採用意欲は高いが、人材を採用できずに募集をあきらめる企業もみられる。なお、内閣府は、基調判断を「緩やかな回復基調が続いているものの、一服感がみられる」に据え置いた。
2. 家計動向関連は改善する一方、企業動向関連は悪化
住宅関連では、「見学会やセミナーなどのイベントへの来客数が増加しており、いずれも真剣に購入を検討している模様である」(中国・住宅販売会社)や、「この3か月の受注が前月と比較して増加している。来年の消費税引上げへの影響が少しずつ出てきている」(九州・住宅販売会社)など、来年度の消費税率引き上げを意識して購入意欲が高まってきているようだ。
企業動向関連では、製造業(同▲1.1ポイント)、非製造業(同▲1.3ポイント)ともに悪化した。コメントをみると、「取引先では、2年後以降の受注の要請を受けている。その会社も工場を増設するが、当社においても現在工場を新設中である」(九州・電気機械器具製造業)など引き続き受注が好調な企業がみられる一方、「目立って受注量、販売量が減少している業種は特にないが、全体的に減少しており、採算面についても悪化している」(東海・パルプ・紙・紙加工品製造業)など受注が落ち込んでいる企業も出てきている。また、「受注量が減少している。原材料の値上がりに伴う価格の改訂を進めているが、以前の価格のままでの受注も半数くらいあり、利益を圧迫している」(東海・金属製品製造業)や「運転手及び構内の現業員が不足し、仕事を断らざるを得ない。人件費や軽油価格の高騰で利益も減少している」(東海・輸送業)など原材料費や人件費の増加により収益が圧迫している。加えて、「広告費を抑える傾向が強く、イベントや印刷案件の作成中止などが相次いでいる」(東北・広告代理店)など、経費削減に動く企業もみられる。
雇用関連では、「人材不足で多くの企業では必要な人員の採用ができておらず、派遣の求人依頼が多い」(南関東・人材派遣会社)など企業の採用意欲は高いが、「求人需要はあるものの、応募者が少なく結果として企業が求人募集を諦める傾向が続いており、景気回復の足かせになっている」(東北・新聞社[求人広告])など人材を採用できずに募集を取りやめるケースも出てきているようだ。
3. 景気の先行き判断DI(季節調整値):節目の50 を境に一進一退の動き
企業動向関連では、「取引先の受注の要請に応えるため工場増設をしている。スペースと人員がいれば仕事量は確保できる状態である」(九州・電気機械器具製造業)など、受注が好調な中、供給体制を強化する企業もみられる。一方で、「原油価格の高騰で、包装資材の値上げが始まり、輸送費も上がって、利益を出すのが厳しい状態である」(甲信越・食料品製造業)など、コスト増加による収益圧迫が懸念されている。また、「米国の輸入関税問題により、特殊鋼のほか、裾野の広い自動車関連部品や、その材料に影響が出る」(近畿・金属製品製造業)など、米国の通商政策による悪影響を懸念するコメントもみられた。
雇用関連では、「人材不足が継続している。求人は増えているものの、採用にはなかなかつながらない(東京都)」(南関東・人材派遣会社)や、「新卒求職者数に大きな変化がない状況では、企業が人材を確保することは難しい」(中国・学校[短期大学])など、人手不足により企業が人材を確保できていないことを不安視するコメントがみられた。
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白波瀨 康雄
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(2018年07月10日「経済・金融フラッシュ」)
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