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- 地方公会計制度とその改革~その2 地方公会計制度改革の経緯と課題~
4――統一的な基準による財務書類の活用状況
団体の区分で見ると、市場公募債の説明会における活用など指定都市を除く市町村の割合が低いのはやむを得ない項目はあるものの、全体的に都道府県や政令指定都市と比べて指定都市を除く市町村の割合が低い傾向が見られる。これは、規模の小さい市区町村ほど、統一的な基準による地方公会計を理解し、活用できるだけの人材もしくはアウトソースするだけの財政余力が不足していることに起因していると推測される。
さらに、活用方法を財務会計(外部の利害関係者に対して活動の成果や財政状況について報告することを目的とした会計)に準ずる活用方法と管理会計(内部の意思決定者に対して意思決定に役立つ会計情報を提供することを目的とした会計)に準ずる活用方法に分類すると、管理会計に準ずる活用方法は最も割合が高い項目でさえ、10.9%と全体的に低い水準に留まっている。これは、自主的な取組が必要となる管理会計に対して、外部からの要請に応じて対応する財務会計を優先的に対応していることが考えられる。また、従来から財務会計に準ずる活用が比較的行われてきたのに対して、管理会計に準ずる活用方法については行ってきた団体数が限られているため、活用ノウハウがなく、活用に苦悩している団体が多いのではないかと推測される。
宮澤 正泰(2017)『自治体議員が知っておくべき 新地方公会計の基礎知識』第一法規。
有限責任監査法人 トーマツ(2017)『一番やさしい公会計の本(第1次改訂版3刷)』学陽書房。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
神戸 雄堂
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(2018年03月20日「基礎研レター」)
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