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2018年01月15日
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3.マネーストック: 通貨供給量の伸びが大幅に鈍化
M3の内訳を見ると、最大の項目であり、全体の約半分を占める預金通貨(普通預金など)の伸び率が前年比7.2%(前月改定値は7.8%)と大きく低下し(図表10)、M3全体の伸び率低下の主因となった。預金通貨の伸び率低下は3ヵ月連続となる。また、現金通貨の伸び率が前年比4.5%(前月改定値は4.8%)と低下したほか、CDの伸び率(前月改定値0.4%→当月▲0.2%)が再びマイナスに転じたことも、伸び率を押し下げた。なお、準通貨(定期預金など、前月改定値▲1.2%→当月▲1.2%)の伸び率は引き続きマイナスであった(図表10・11)。

残高規模が大きい金銭の信託(前月改定値7.6%→当月6.9%)の伸びが低下したうえ(図表11)、為替の(前年比での)円高転換を背景に外債(前月13.6%→当月10.5%)の伸びも低下した。
さらに、家計が大半を保有し、注目度の高い投資信託(元本ベース)の伸び(前月0.5%→当月▲1.2%)がマイナスに転じたことも広義流動性の伸び率押し下げに繋がった(図表11)。投資信託(元本ベース)は前年比横ばい圏での推移が続いており、2015年に見られたような積極的な残高積み増しは確認できない。金融庁の批判を受けて、かつての大ヒット商品であった毎月分配型投信の販売が自粛されていることや、株価上昇に伴って株式投信での利益確定売りが出ている影響もあるが、基本的には家計の慎重な投資マインドを反映したものと考えられる。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2018年01月15日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
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