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J-REIT市場の事業環境と今後の収益見通し-今後5年間の分配金レンジは▲6%~ +13%の見通し
基礎研REPORT(冊子版)1月号
金融研究部 不動産調査室長 岩佐 浩人
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1―J-REIT市場は軟調に推移
2―事業環境の変化に伴う収益インパクトを試算
1|保有ビルのNOIは今後5年間で▲3%~▲11%減少する可能性
三鬼商事によると、東京都心5区の平均募集賃料(9月末)は2013年12月を底に45ケ月連続でプラスとなりこの間の上昇率は17%となった[図表2]。オフィス市況の改善は東京から地方へ波及し全国の都市で空室率が低下し賃料も反転している。こうした市況回復を追い風にJ-REIT保有ビルも内部成長を実現している。継続比較可能な物件を対象に保有ビルのNOIを集計しその推移を確認すると、2015年下期から4期連続で前期比プラスとなり直近2年間で4.6%増加した。一方、各社の開示資料などをベースに保有ビルの賃料ギャップ(継続賃料と市場賃料のかい離率)を算出すると、これまでの賃料更改などを経て市場全体で0%(継続賃料≒市場賃料)と推計される。したがって今後のオフィスビルの内部成長は市場賃料の動向次第だと言える。
J-REITによる物件取得は、2013年に2.3兆円と過去最高を記録しその後も高い水準(1.6兆円~1.8兆円)を維持している[図表5]。2017年上期の取得額は0.8兆円で過去3年と同程度のペースで物件を取得している。一方で課題は取得利回りの低下だ。2009年以降、既存ポートを上回る利回りで不動産を取得しポート全体の利回り低下を下支えしてきたが、不動産価格の上昇により最近では高い利回りでの購入が難しくなっている。現在の市場環境を踏まえて、今後の外部成長について以下のシナリオを想定し分配金への影響を計算する(年間1.5兆円取得、利回り4.8%、借入比率50%、公募増資PBR1.2倍、借入金利0.7%)。結果は、分配金は5年間で+7.2%増加する。既存ポートを下回る利回りで物件を取得したとしても資金調達コストが十分に低いことから分配金にプラス寄与する。しかし、資金調達コストは資本市場の影響を強く受けるためJ-REIT市場の下落や金利上昇リスクに十分留意する必要がある。
(2018年01月11日「基礎研マンスリー」)
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03-3512-1858
- 【職歴】
1993年 日本生命保険相互会社入社
2005年 ニッセイ基礎研究所
2019年4月より現職
【加入団体等】
・一般社団法人不動産証券化協会認定マスター
・日本証券アナリスト協会検定会員
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