2017年08月08日

東京Aクラスビルの成約賃料が再上昇。売り時判断の増加で不動産売買は拡大。~不動産クォータリー・レビュー2017年第2四半期~

竹内 一雅

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■要旨
 
  • 景気の回復が続いている。企業業績の回復が顕著で、内閣府は景気の基調判断を「緩やかな回復基調が続いている」へ引き上げた。景気拡大で宿泊・飲食や運輸、建設業などを中心に人手不足が深刻化。人手不足の要因である日本人の人口減少が進む一方で外国人の増加が顕著となり始めた。
     
  • 住宅着工は貸家などに支えられ高水準の推移が続いている。首都圏の分譲マンション発売戸数は近年で最も低い水準にあり、価格上昇の一方で契約率は低水準で推移している。その中で、首都圏では景気や株価の回復などの影響か高額マンションの契約率に回復がみられる。
     
  • 東京のオフィス市場では空室率が低下し、Aクラスビルの成約賃料も上昇。竣工前の大規模ビルでも成約が順調に進んでいるため、今年いっぱいは新規供給による空室率の大幅な上昇への懸念はほぼなくなった。札幌や福岡では大規模ビルの空室率が東京を下回るなど主要都市でも活況が続いている。
     
  • 訪日外国人旅行者数は韓国を中心に大幅な増加が続いている。株価の上昇やインバウンド需要に支えられ、4-6月の百貨店販売額は増加に転じた。宿泊施設の延べ宿泊者数は、外国人に加え、日本人でも増加となり、ホテル客室稼働率は近年の最高水準で推移している。
     
  • 4-6月の東証REIT指数は、J-REIT投信からの換金売りが続き、年初からの下落率は8.7%に拡大した。REIT株価の低迷から物件の大型取引が手控えられている。一方、足元のファンダメンタルズは好調で、NAV倍率は1.1倍まで低下しているため、バリュエーションからみた魅力が高まっている。
     
  • 利回りの低下などから不動産投資市場がピークに達したと考える投資家が約2/3に達した。売り時と判断する投資家の増加で売買は拡大し、東京周辺部の物件や海外投資家の取引比率が高まっている。
国内不動産売買額と地方圏比率
■目次

1.経済動向
2.人手不足の深刻化と人口減少
3.住宅着工と住宅販売市場
4.地価動向
5.不動産サブセクターの動向
  (1) オフィス
  (2) 賃貸マンション
  (3) 商業施設
  (4) ホテル
  (5) 物流施設
6.J -REIT(不動産投信)・不動産投資市場
  (1) J-REIT(不動産投信)
  (2) 不動産投資市場
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竹内 一雅

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