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東京Aクラスビルの成約賃料が再上昇。売り時判断の増加で不動産売買は拡大。~不動産クォータリー・レビュー2017年第2四半期~

竹内 一雅
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1.経済動向
2.人手不足の深刻化と人口減少
人手不足は多くの業種に波及しており、日本商工会議所の調査によると、人手が「不足している」と回答した企業は全体の60.6%に達し、特に宿泊・飲食業(不足との回答が83.8%)、運輸業(同74.1%)、介護・看護(同70.0%)、建設業(同67.7%)などで深刻な問題となっている3。
建設業での建設技能労働者の人手不足は2014年頃と比べると若干緩和したが、建設工事原価は再び上昇しはじめている(図表-7、8)。これは、建設業では積極的な賃金引上げが人手不足解消に効果があったが、結果として人件費などのコストが上昇したためといわれている(図表-9)。
人手不足の背景に、日本の人口減少と少子化がある。国内では日本人人口の減少幅が拡大しはじめた(2016年は▲30万人の減少)一方、外国人の増加が顕著となり(同+14万人の増加)、2016年には日本人人口の減少数の約半分を補う状況になっている(図表-10)。
3.住宅着工と住宅販売市場
首都圏分譲マンションの新規発売戸数は近年で最も少ない状況にある(図表-12)。マンション価格の上昇が続き、契約率は好不調の目安である70%を下回ることが多くなっている(図表-13)。首都圏マンションの契約戸数を価格別にみると、2014年以降、5千万円未満では契約戸数が大幅に減少し、8千万円以上で増加傾向が見られる(図表-14)。なお、5千万円未満のマンションは建築コストの上昇から発売戸数自体が顕著に減少している。
昨年、相続税対策としての「タワーマンション節税」が有名になったように、2013年度の税制改正(2015年1/1以降の相続に適用)による相続税の基礎控除額の引き下げ等は、高額マンションなどの取得を促進してきた。2016年夏以降、税負担の不均衡の是正をめざした取締まり強化や株式市場の変動等に対応して、高額マンションの契約率は比較的大きな変動が続いている5(図表-15)。
4 近年の貸家着工戸数の急増は、低金利下でのアパートローンの急増と相続税対策、市街化調整地域での開発許可制度の規制緩和等の影響といわれている。賃貸不動産向け融資の増加は金融庁や日銀のレポートでリスクが指摘されてきた。
(2017年08月08日「不動産投資レポート」)
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