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- 2017・2018年度経済見通し~16年10-12月期GDP2次速報後改定
2017年03月08日
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(厳しさを増す家計部門)
ここにきて企業部門の改善傾向が明確となる一方、家計部門は厳しさを増している。2016年末にかけて家計の実質購買力を大きく下押しした生鮮野菜の価格高騰は一段落したが、ガソリン、灯油価格の大幅上昇を主因として消費者物価上昇率(生鮮食品を除く総合)は2017年1月に13ヵ月ぶりのプラスとなり、今後伸びが加速することが確実となっている。
ここにきて企業部門の改善傾向が明確となる一方、家計部門は厳しさを増している。2016年末にかけて家計の実質購買力を大きく下押しした生鮮野菜の価格高騰は一段落したが、ガソリン、灯油価格の大幅上昇を主因として消費者物価上昇率(生鮮食品を除く総合)は2017年1月に13ヵ月ぶりのプラスとなり、今後伸びが加速することが確実となっている。

今回の見通しでは、2017、2018年度の春闘賃上げ率をそれぞれ2.05%、2.30%と想定した(2016年度実績は2.14%)。

民間消費は実質雇用者報酬に連動する形で2017年度中は前期比で横ばい圏の動きを続けた後、2018年度に入ってから徐々に伸びを高めるだろう。
(物価の見通し)
消費者物価(生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)上昇率は、原油価格の上昇に伴うガソリン、灯油の大幅上昇などから2017年1月に前年比0.1%と13ヵ月ぶりのプラスとなった。電気代、ガス代は前年比で下落が続いているが、原油価格の上昇が遅れて反映されることにより今後値上げのペースが加速することが見込まれる。エネルギー価格は2017年2月にプラスに転じた後、2017年度入り後にはコアCPI上昇率の押し上げ寄与が0.3%程度まで拡大するだろう。また、既往の円高による物価下押し圧力は残っているものの、足もとのドル円レートはすでに前年とほぼ同水準となっており、夏頃からは円安が物価の押し上げ要因となる公算が大きい。
一方、当研究所では足もとの潜在成長率を0%台後半と推計しているが、2017年度中は年率1%前後の成長が続くため、需給バランスの改善はいったん足踏みとなる可能性が高い。需給バランスが改善に向かうのは成長率が年率1%台半ばまで高まる2018年度に入ってからとなろう。今回の見通しにおける実質GDP成長率の予測をもとにすれば、需給ギャップがプラスに転じるのは予測期間末の2019年1-3月期となるとなる。
消費者物価(生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)上昇率は、原油価格の上昇に伴うガソリン、灯油の大幅上昇などから2017年1月に前年比0.1%と13ヵ月ぶりのプラスとなった。電気代、ガス代は前年比で下落が続いているが、原油価格の上昇が遅れて反映されることにより今後値上げのペースが加速することが見込まれる。エネルギー価格は2017年2月にプラスに転じた後、2017年度入り後にはコアCPI上昇率の押し上げ寄与が0.3%程度まで拡大するだろう。また、既往の円高による物価下押し圧力は残っているものの、足もとのドル円レートはすでに前年とほぼ同水準となっており、夏頃からは円安が物価の押し上げ要因となる公算が大きい。
一方、当研究所では足もとの潜在成長率を0%台後半と推計しているが、2017年度中は年率1%前後の成長が続くため、需給バランスの改善はいったん足踏みとなる可能性が高い。需給バランスが改善に向かうのは成長率が年率1%台半ばまで高まる2018年度に入ってからとなろう。今回の見通しにおける実質GDP成長率の予測をもとにすれば、需給ギャップがプラスに転じるのは予測期間末の2019年1-3月期となるとなる。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2017年03月08日「Weekly エコノミスト・レター」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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