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- 日本は何位?「アジア諸国の国際競争力」-世界経済フォーラムの直近ランキングより
コラム
2016年12月05日
世界各国・地域の国際競争力のランキングについては、世界経済フォーラム(World Economic Forum: WEF)による「国際競争力指数」(Global Competitiveness Index : GCI)と、国際経営開発研究所(International Institute for Management Development: IMD)の「世界競争力年鑑」(World Competiveness Year Book: WCY)によるものの二つが著名であるが、本稿では、2016年9月28日に公表されたWEFの2016-2017年版の国際競争力指数を踏まえて、アジア諸国・地域の競争力の現況等についてその要点等を紹介する(IMDの直近ランキングは2016年5月30日に公表されている)。
1.WEFによる国際競争力(指数・ランキング)の概要
WEFが、毎年1回、対象国・地域(今回は138)について、「基礎的要件」、「効率性強化」、「イノベーションと洗練性」の3つを大項目とし、その要素たる12の中項目(「制度」、「インフラ」から「イノベーション」等)、100以上の小項目について調査・評価を行っている。それに併せて、各国の著名機関・識者へのインタビューも実施し、その結果を「国際競争力指数」(Global Competitiveness Index)としてまとめ、各国・地域のスコア(評点)やランキングを公表している。
以下、WEFの直近の公表レポートである「The Global Competitiveness Report 2016-2017」に沿って、アジア地域(東アジア・アセアン(東南アジア諸国連合)加盟国、インドを対象とする)に焦点を絞ってその要点を述べることとする。
以下、WEFの直近の公表レポートである「The Global Competitiveness Report 2016-2017」に沿って、アジア地域(東アジア・アセアン(東南アジア諸国連合)加盟国、インドを対象とする)に焦点を絞ってその要点を述べることとする。
図表-1の「総合ランキング」をみると、アジア地域では、シンガポール(2位)、日本(8位)、香港(9位)が、世界の上位10位以内に入っており、それ以下では、台湾・マレーシア・韓国・中国が10-20位台、タイ・インドが30位台、インドネシア・フィリピン・ブルネイ・ベトナムが40-60位と対象国138の上位半数以上に位置づけられている、アセアンの後発加盟国であるカンボジア・ラオスは89位、92位と未だ低いポジションにある(ミャンマーは入手できるデータが未だ不十分なため、ランキングの公表対象国にはなっていない由である)。
このように、アジア地域においては、世界の最上位クラス(シンガポール2位)から下位(ラオス93位)までの大きな多様性がある。上位のポジションにある先進的な国・地域は、世界経済をリードする立場から重要である。一方、中国を代表とする域内の新興国は、世界経済の発展に大きく貢献している。2015年における経済成長(名目(GDP(国内総生産)ベース)の増分の約4割を占め、その他地域の新興国の寄与度の2倍以上となっている等、世界経済におけるプレゼンスが拡大しており、その競争力の動向が注目される。
アジア地域における特徴点として以下が挙げられている。
・先進国・地域:シンガポールは6年連続で世界2位のポジションを維持、日本は8位(前年より2ランクダウン)、香港が9位(同2ランクダウン)、台湾は14位(1ランク上昇)となっている。
これら諸国では、イノベーション能力のさらなる発展が必要と指摘されている。日本とシンガポールがこの分野で上位にあり、韓国と台湾がそれに次ぐ位置づけにあるが、2007年との対比では、いずれも、その相対的な優位性は失われる傾向にあると指摘されている。
・新興国:マレーシアは25位、中国が3年連続で28位である。この地域のほとんどの国が、2007年のデータとの比較で(ランキングのベースとなる)スコアを上昇させている。特に、近年では、カンボジア・中国・フィリピンのスコアの上昇が目立っている。多くの国で、基礎的要件の改善が進み、汚職問題への取り組みなどガバナンス面の改善、交通インフラの改善が進展している。各国に共通して見られる改善のトレンドは健康と初等教育の分野である。マクロ経済面では、多くの国でインフレ率の低下、財政の相対的な健全化傾向が見られる。
中国については、高等教育、イノベーション、ビジネスの洗練度等の改善が見られる一方で、技術適応力の弱さ、外国企業の市場参入の困難による競争の少なさ、起業手続きに多くの時間を要すること、金融セクターの非効率と安定度の低さなどが課題として指摘されている。
インドは、前年の55位から39位へと、対象国中最高となる16ランクの改善と大きく上昇した。財市場の効率性、ビジネスの洗練度、イノベーション等幅広い分野で改善が見られた。G20諸国の中で最も高い経済成長率の達成や近年の諸改革への努力、外資への市場開放や金融システムの透明性向上への取り組み等が評価された。一方で未だ改善すべき課題は数多く、労働市場に関する問題、付加価値税の各州で異なる水準での課税、経済効率を阻害する大規模な公企業のあり方、脆弱なインフラと情報通信の活用の遅れなどが指摘されている。
このように、アジア地域においては、世界の最上位クラス(シンガポール2位)から下位(ラオス93位)までの大きな多様性がある。上位のポジションにある先進的な国・地域は、世界経済をリードする立場から重要である。一方、中国を代表とする域内の新興国は、世界経済の発展に大きく貢献している。2015年における経済成長(名目(GDP(国内総生産)ベース)の増分の約4割を占め、その他地域の新興国の寄与度の2倍以上となっている等、世界経済におけるプレゼンスが拡大しており、その競争力の動向が注目される。
アジア地域における特徴点として以下が挙げられている。
・先進国・地域:シンガポールは6年連続で世界2位のポジションを維持、日本は8位(前年より2ランクダウン)、香港が9位(同2ランクダウン)、台湾は14位(1ランク上昇)となっている。
これら諸国では、イノベーション能力のさらなる発展が必要と指摘されている。日本とシンガポールがこの分野で上位にあり、韓国と台湾がそれに次ぐ位置づけにあるが、2007年との対比では、いずれも、その相対的な優位性は失われる傾向にあると指摘されている。
・新興国:マレーシアは25位、中国が3年連続で28位である。この地域のほとんどの国が、2007年のデータとの比較で(ランキングのベースとなる)スコアを上昇させている。特に、近年では、カンボジア・中国・フィリピンのスコアの上昇が目立っている。多くの国で、基礎的要件の改善が進み、汚職問題への取り組みなどガバナンス面の改善、交通インフラの改善が進展している。各国に共通して見られる改善のトレンドは健康と初等教育の分野である。マクロ経済面では、多くの国でインフレ率の低下、財政の相対的な健全化傾向が見られる。
中国については、高等教育、イノベーション、ビジネスの洗練度等の改善が見られる一方で、技術適応力の弱さ、外国企業の市場参入の困難による競争の少なさ、起業手続きに多くの時間を要すること、金融セクターの非効率と安定度の低さなどが課題として指摘されている。
インドは、前年の55位から39位へと、対象国中最高となる16ランクの改善と大きく上昇した。財市場の効率性、ビジネスの洗練度、イノベーション等幅広い分野で改善が見られた。G20諸国の中で最も高い経済成長率の達成や近年の諸改革への努力、外資への市場開放や金融システムの透明性向上への取り組み等が評価された。一方で未だ改善すべき課題は数多く、労働市場に関する問題、付加価値税の各州で異なる水準での課税、経済効率を阻害する大規模な公企業のあり方、脆弱なインフラと情報通信の活用の遅れなどが指摘されている。
(2016年12月05日「研究員の眼」)
平賀 富一
研究・専門分野
平賀 富一のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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