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- 需給環境の改善が続く大阪オフィス市場-活発な需要に加え新規供給の少なさが市況改善に貢献
2016年11月07日
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3. 大阪のオフィス需給と地区別動向
今年に入り、大阪ビジネス地区では空室面積の減少が進み、昨年末比で淀屋橋地区▲1万6千坪の減少、梅田地区▲1万3千坪の減少、船場地区▲6千坪の減少と、ほぼ全地区で大幅な改善が進んだ(図表-8)。
その結果、空室率は、梅田地区で4.33%、新大阪地区5.46%、淀屋橋・本町地区6.02%など、昨年末比で低下している(図表-9、10)。梅田地区と新大阪地区では、ビジネス地区としての評価の高まりを反映して、募集賃料の上昇もみられる(図表-11)。淀屋橋・本町地区では、2015年の複数の自社ビル竣工によるテナント流出の危機を乗り越え、空室率は大きく低下しており、今後の募集賃料上昇に期待がかかる。その一方、インバウンド客の爆買いなどで注目を集めた心斎橋・難波地区では、空室率の横ばいやオフィスの募集賃料の下落が続いており、商業地域・ホテル地域としての性格を強めているようだ。
その結果、空室率は、梅田地区で4.33%、新大阪地区5.46%、淀屋橋・本町地区6.02%など、昨年末比で低下している(図表-9、10)。梅田地区と新大阪地区では、ビジネス地区としての評価の高まりを反映して、募集賃料の上昇もみられる(図表-11)。淀屋橋・本町地区では、2015年の複数の自社ビル竣工によるテナント流出の危機を乗り越え、空室率は大きく低下しており、今後の募集賃料上昇に期待がかかる。その一方、インバウンド客の爆買いなどで注目を集めた心斎橋・難波地区では、空室率の横ばいやオフィスの募集賃料の下落が続いており、商業地域・ホテル地域としての性格を強めているようだ。
4. 大阪の新規供給と都心部での人口急増
大阪では今後もオフィスの新規供給量は低水準で推移すると見込まれている(図表-12)。2017年には中之島フェスティバルタワー・ウェスト、2019年には新南海会館ビルの竣工が予定されているが、全体としての供給量は少なく、2019年、2020年も現時点では大規模ビルの供給予定はない4。供給量の少なさに加え、都心部における中小ビルのホテルやマンションへの建替えも市況改善に貢献している。2010年以降、大阪ビジネス地区では30棟の賃貸ビルが竣工したが、一方で既存ビルは38棟減少している。
大阪市の人口は減少が見込まれている(図表-13)。その一方、都心部では大幅な人口増加が進んでいる(図表-14、15)。特に、中央区、北区、西区などのビジネスエリアでは人口増加率が高く、参考値ながら(2013年から外国人の数値が含まれるため)、1995年~2016年までの増加率は中央区で+78.1%、北区で+44.6%、西区で+64.2%という高い増加率となっている。こうした都心部での人口増加は、旧耐震の小規模ビルなどの建替えを促し、ストック調整を進めるだけでなく、都心部オフィスビルにおけるテナント構成の多様化をもたらしている。
大阪市の人口は減少が見込まれている(図表-13)。その一方、都心部では大幅な人口増加が進んでいる(図表-14、15)。特に、中央区、北区、西区などのビジネスエリアでは人口増加率が高く、参考値ながら(2013年から外国人の数値が含まれるため)、1995年~2016年までの増加率は中央区で+78.1%、北区で+44.6%、西区で+64.2%という高い増加率となっている。こうした都心部での人口増加は、旧耐震の小規模ビルなどの建替えを促し、ストック調整を進めるだけでなく、都心部オフィスビルにおけるテナント構成の多様化をもたらしている。
4 今後、2022年の梅田1丁目1番地計画(大阪神ビル・新阪急ビル建替え)のほか、うめきた2期区域開発、梅田3丁目計画(大阪中央郵便局跡地開発)などでオフィスが供給される見込みである。
(2016年11月07日「不動産投資レポート」)
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