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労働関連統計にみられる人口減少と高齢化の影響 ~九州地域の場合~

日本大学経済学部教授 小巻 泰之
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4.有効求人倍率の改善における人口変化の影響
有効求人倍率の改善の要因について、人口変化の影響から検証する。ここでは1963年の調査開始後で有効求人倍率が1倍を超える改善を示した、(1)85年末からのバブル期、(2)2009年から直近、の2期間について、求人と求職に分けて有効求人倍率の改善要因を検討する。
全国ベースの有効求人倍率が1倍に達した改善期を求人の増加と求職の減少に要因を分けて考えると、基本的に多くの時期で景気の改善を背景に求人数が増加し、その結果求職者数が減少する。さらに求人数が増加する形で、有効求人倍率は改善を示してきた。バブル期には九州の各県とも全国ベースと同様に、求人数(分子)の増加により改善してきた(図表10)。
求職者の減少が実際の雇用につながっているのであれば問題ない。しかし、就業者の動きをみると、必ずしも求職者の減少が雇用につながっていない。そこで、求職者の動向をより詳細にみるために就業構造基本調査(総務省)を用いて年齢階層別に見てみる。
求職者全体と就業者全体の関係(図表12の左列)をみると、1992年から97年では、福岡県、長崎県、熊本県で求職者と就業者がともに増加している。しかし、それ以降は求職者の減少は就業者の増加につながっていない。他方、大分県、宮崎県、鹿児島県では求職者数が増加しているにも関わらず就業者数が増加していない。
年齢別では若年層ほど、2002年まで求職者数は増加しているものの、就業者は増加していない。それ以降は求職者数の減少が就業者数の増加につながっていない。他方、それ以外の年齢階層についても求職者の減少が就業者数の増加に結びついていない様子がうかがえる。
(2016年05月13日「基礎研レポート」)
日本大学経済学部教授 小巻 泰之
日本大学経済学部教授 小巻 泰之のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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