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労働関連統計にみられる人口減少と高齢化の影響 ~九州地域の場合~

日本大学経済学部教授 小巻 泰之
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このような九州各県の人口移動先の違いには交通網を中心とするインフラ整備が影響している可能性が考えられる。宮崎県及び鹿児島県が交通インフラ上の不便な地域であり、整備されたのは近年になってからである。たとえば、九州新幹線が全面開通(2011年3月)するまでは、博多駅から鹿児島中央駅まで特急つばめで3時間50分かかっていたが、新幹線開通後は所要時間最速1時間17分で結ばれている。また、大分県と宮崎県の間には高速道路がなく大分市~宮崎市間が5時間25分もかかる陸運上の不便さがあった。しかし、2015年3月に東九州道の全線開通により大分市~宮崎市間は約2時間50分となっている。このようなインフラの未整備が移動先の地域を規定してきたのではないかと推察される。
人口移動を年齢別にみたのが図表4である。福岡県を除き、どの県においても15歳から29歳まで若年層の流出が大勢を占めている。これは大学への就学、就職が要因とみられる。実際、高等学校卒業者の就職先をみると、九州の4県(宮崎県、鹿児島県、長崎県、佐賀県)が県内企業への就職率が全国的にも最下位のレベルとなっている(図表5)。福岡県の場合、福岡市内に九州大学、福岡大学など学生数が1万人を超える大学が複数あるほか、コールセンターやゲームソフト開発など若者中心の職場も多いことが背景として考えられる。他方、福岡県と佐賀県を除き、70歳以上の高齢者の流出超も小幅ながら継続した動きとなっている。
このように、九州各県の人口面の動きをみると、九州各県は若年層を中心に、福岡県への人口流出が続いている。
(2016年05月13日「基礎研レポート」)
日本大学経済学部教授 小巻 泰之
日本大学経済学部教授 小巻 泰之のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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