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- 米国の就業不能保障保険-精神障害に対する保障の日米の相違点も踏まえて
2016年01月26日
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4――おわりに-就業不能保障保険の精神障害に対する保障-
公的所得保障制度においては、日本の障害年金、英国の雇用・支援給付、米国の社会保障障害保険とも、重度の障害状態を保障する仕組みとなっており9、精神障害も保障している。
日本の障害年金受給者は障害厚生年金・障害基礎年金合わせて223.6万人(併給者を控除すると200.9万人、2013年度末)に達している10が、精神・知的障害による障害年金受給者が急増している11。
一方、民間就業不能保障保険における精神障害に対する保障は、日本と英米の間で差異がある。
英米における民間就業不能保障保険は、一般に精神障害による保障を行っているケースが多い(精神障害既往歴がある場合は謝絶)。
日本においては、個人就業不能保障保険においては精神障害を免責としているケースがほとんどである(団体向けの就業不能保障保険においては、「精神障害担保特約」を付加することで、保険料を上乗せした上で保障しているケースがある)。
英米の就業不能保障保険(所得補償保険)においても、
9 たとえば、障害1級は両眼の視力の和が0.04以下のもの、両上肢の機能に著しい障害を有するもの、両下肢の機能に著しい障害を有するもの、精神障害など身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものとされている。支給金額としては、障害厚生年金は標準報酬月額と加入期間比例、障害基礎年金は定額で1級は975,100円、2級は780,100円となっている(日本年金機構『障害年⾦ガイド 平成27年度版』、日本年金機構ホームページ)。
10 厚生労働省『厚生年金保険・国民年金事業年報 平成25年度』、厚生労働省ホームページ。
11 百瀬優「なぜ障害年金の受給者は増加しているのか?」『早稲田商学』第439号、2014年3月、厚生労働年金局「障害年金の受給者数等に関する統計資料」『精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会(第1回)』(2015年2月19日)、厚生労働省ホームページ。
12 ディルク・ニーダー「Private disability products -個人向け就業不能保険」『アクチュアリージャーナル』第78号、2011年12月。
日本の障害年金受給者は障害厚生年金・障害基礎年金合わせて223.6万人(併給者を控除すると200.9万人、2013年度末)に達している10が、精神・知的障害による障害年金受給者が急増している11。
一方、民間就業不能保障保険における精神障害に対する保障は、日本と英米の間で差異がある。
英米における民間就業不能保障保険は、一般に精神障害による保障を行っているケースが多い(精神障害既往歴がある場合は謝絶)。
日本においては、個人就業不能保障保険においては精神障害を免責としているケースがほとんどである(団体向けの就業不能保障保険においては、「精神障害担保特約」を付加することで、保険料を上乗せした上で保障しているケースがある)。
英米の就業不能保障保険(所得補償保険)においても、
・精神神経系の割合が上がっている12
とされていることから、新契約時の保険会社による選択の厳格化などを前提とした、就業不能保障保険における精神障害に対する保障についても、今後の商品開発の一つのポイントとなろう。
9 たとえば、障害1級は両眼の視力の和が0.04以下のもの、両上肢の機能に著しい障害を有するもの、両下肢の機能に著しい障害を有するもの、精神障害など身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものとされている。支給金額としては、障害厚生年金は標準報酬月額と加入期間比例、障害基礎年金は定額で1級は975,100円、2級は780,100円となっている(日本年金機構『障害年⾦ガイド 平成27年度版』、日本年金機構ホームページ)。
10 厚生労働省『厚生年金保険・国民年金事業年報 平成25年度』、厚生労働省ホームページ。
11 百瀬優「なぜ障害年金の受給者は増加しているのか?」『早稲田商学』第439号、2014年3月、厚生労働年金局「障害年金の受給者数等に関する統計資料」『精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会(第1回)』(2015年2月19日)、厚生労働省ホームページ。
12 ディルク・ニーダー「Private disability products -個人向け就業不能保険」『アクチュアリージャーナル』第78号、2011年12月。
(2016年01月26日「基礎研レター」)
小林 雅史
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