- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 家計調査15年9月~市場予想を大きく下回るが、消費の実態は緩やかな持ち直し
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
■見出し
・実質消費支出は市場予想を下回り前年比マイナスに
・個人消費の実態は緩やかな持ち直し
■要旨
総務省が10月30日に公表した家計調査によると、15年9月の実質消費支出は前年比▲0.4%(8月:同2.9%)と2ヵ月ぶりの減少となり、事前の市場予想(QUICK集計:前年比1.2%、当社予想は同1.9%)を大きく下回った。前月比では▲1.3%(8月:同2.5%)と2ヵ月ぶりの減少となった。月々の振れが大きい住居、自動車などを除いた実質消費支出(除く住居等)は前年比▲0.9%(8月:同1.9%)、前月比▲1.8%(8月:同1.5%)といずれも3ヵ月ぶりの減少となった。
実質消費水準指数(除く住居等、季節調整値)は前月比▲2.8%と大きく低下し、8月の上昇分(前月比2.9%)を打ち消す形となった。7-9月期では前期比0.6%と2四半期ぶりの上昇となったが、4-6月期の同▲1.0%と落ち込みを取り戻すまでには至らなかった。
9月の家計調査は事前の市場予想を下回る弱い結果となったが、8月は逆に大きく上振れており、基調を見るためには8,9月を均してみる必要があるだろう。家計調査以外の9月の消費関連指標を確認すると、商業動態統計の小売売上高は堅調であり、日本百貨店協会の百貨店売上高も強めの結果(ただし、訪日外国人向けの売上急増の影響が含まれる)であった。また、自動車販売台数は軽自動車増税の影響もあって前年比では減少が続いているが、季節調整値(当研究所による試算値)でみると8月、9月と前月比で増加している。個人消費は極めて緩慢ながら持ち直しつつあると判断される。
個人消費は先行きも緩やかな持ち直しが続くことが予想される。毎月勤労統計の特別給与が6~8月の合計で前年比▲3.3%の減少となるなど、名目賃金は伸び悩んでいるが、15年7-9月期の消費者物価(生鮮食品を除く)が前年比▲0.1%のマイナス(ただし、総合は前年比0.2%)となるなど、物価高による実質所得の押し下げ圧力は緩和されている。
また、一人当たりの名目賃金は伸び悩んでいるものの、雇用者数(労働力調査ベース)は前年比1%弱の伸びを続けており、このことがマクロベースの雇用者所得の押し上げに寄与している。当面は実質ベースの雇用者所得の増加が個人消費を下支えすることが見込まれる。
(2015年10月30日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1836
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
斎藤 太郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/04/30 | 2025年1-3月期の実質GDP~前期比▲0.2%(年率▲0.9%)を予測~ | 斎藤 太郎 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/04/30 | 鉱工業生産25年3月-1-3月期は4四半期ぶりの減産、トランプ関税の影響で4月以降も低迷が続く見込み | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/04/18 | 消費者物価(全国25年3月)-コアCPI上昇率は25年度入り後も3%台が続く公算 | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/04/17 | 貿易統計25年3月-1-3月期の外需寄与度は前期比▲0.6%程度のマイナス、4月以降の輸出の落ち込みは不可避 | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
新着記事
-
2025年05月01日
日本を米国車が走りまわる日-掃除機は「でかくてがさつ」から脱却- -
2025年05月01日
米個人所得・消費支出(25年3月)-個人消費(前月比)が上振れする一方、PCE価格指数(前月比)は総合、コアともに横這い -
2025年05月01日
米GDP(25年1-3月期)-前期比年率▲0.3%と22年1-3月期以来のマイナス、市場予想も下回る -
2025年05月01日
ユーロ圏GDP(2025年1-3月期)-前期比0.4%に加速 -
2025年04月30日
2025年1-3月期の実質GDP~前期比▲0.2%(年率▲0.9%)を予測~
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【家計調査15年9月~市場予想を大きく下回るが、消費の実態は緩やかな持ち直し】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
家計調査15年9月~市場予想を大きく下回るが、消費の実態は緩やかな持ち直しのレポート Topへ