急増する訪日外国人のホテル需要と消費支出-2014年の訪日外国人旅行者数は前年比+29%増、外国人延べ宿泊者数は同+34%増、消費額は同+43%増で2兆円を突破 | ニッセイ基礎研究所
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急増する訪日外国人のホテル需要と消費支出-2014年の訪日外国人旅行者数は前年比+29%増、外国人延べ宿泊者数は同+34%増、消費額は同+43%増で2兆円を突破

竹内 一雅
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2014年の訪日外国人旅行者数は前年比+29.4%の増加で、国内ホテル(旅館を含む)の外国人旅行者の延べ宿泊者数は前年比+33.8%、訪日外国人の消費額は前年比+43.1%の増加で2兆278億円に達した。最近、ホテルの稼働率が極めて好調に推移しているのは、延べ宿泊者数では全体の1割に満たない外国人の増加が、日本人宿泊者数の減少を補ってきたためである。
1―急増する訪日外国人旅行者数
2014年の訪日外国人旅行者数は1,341万人に達した[図表1・2]。2012年以降の前年比増加率は+34.4%、+24.0%、+29.4%と大幅な増加が続いている。2015年に入っても増加の勢いは止まらず、1~4月の訪日外国人旅行者数は590万人で前年比+43.6%(+179万人)の増加だった。
2015年4月現在、過去12ヶ月間の累計は1,520万人に達しているため、2015年中に1,700万人達成の可能性も出てきた。
訪日外国人旅行者数の急増は、アジア諸国の経済成長に伴う海外旅行需要の増加、円安の進展、LCCの就航増加など国際線発着枠の拡大、クルーズ船の寄港増加、アジア諸国等へのビザ緩和、訪日プロモーション、消費税免税制度の拡充、外国人旅行客受け入れ態勢の進展、日本の安全性への評価など様々な要因による。
2―外国人宿泊者数の増加
2014年に延べ宿泊者数が多かったのは、台湾の783万人泊(構成比19%)、中国の764万人泊(同19%)、韓国422万人泊(同10%)で、この3カ国で全体の48%を占めている。
こうした外国人の宿泊地は特定の都道府県に集中している。2014年の外国人延べ宿泊者数の地域別構成比は、東京エリア(東京都・千葉県・神奈川県)が全体の39%、関西エリア(大阪府・京都府・兵庫県)は22%、中京・中部エリア(愛知県・山梨県・静岡県・岐阜県・長野県)は10%、北海道は9%、北部九州(福岡県・長崎県・熊本県・大分県)は6%、沖縄は5%で、その他は8.5%だった。
2012年から2014年に外国人の延べ宿泊者数が最も増加したのは東京都の+516万人泊で、次いで大阪府の+278万人泊、北海道の+202万人泊、沖縄県の+153万人泊、京都府の+110万人泊だった。また増加率が最も高かったのは香川県の+254%、次いで沖縄県の+196%だった。
3―訪日外国人の旅行消費額
消費総額のうち、中国が全体の28%を占め、次いで台湾(同18%)、韓国(同10%)、アメリカ(同7%)、香港(同7%)となっている。
訪日外国人の一人当たりの旅行支出額は、2014年全体の15万1千円だった。中国人の一人当たり支出額は特に多く、2014年は23万2千円、2015年第一四半期には30万円へと急増している。
なお、百貨店における訪日外国人売上高(免税手続きベース売上高)も大幅な増加が続いている。2013年4月の訪日外国人売上高は単月で過去最高の38億6千万円(総売上高の0.8%)だったが、2014年4月には60億9千万円(同1.5%)に、2015年4月には197億5千万円(同4.2%)に達した。
4―国内ホテル投資・ホテル計画
ホテル売買が活況を呈する反面、ホテルの着工件数は、まだリーマンショックや東日本大震災からの回復途上にある。2014年の宿泊業用建築着工件数は867件(2005年比▲43%減)で、着工床面積は74万m2(同▲50%減)であった。
現在の外国人旅行者数の増加と2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、現在、多くのホテル建設計画が動き始めている。計画が明らかになっているホテルチェーンの建築計画だけでも、2015年の開業予定は全国で54軒(1万2千室)、2016年も24軒(5千室)だった[図表7]。2015年~2018年の開業予定は2万室を上回る状況にあるが、今後、さらに開発計画が増加することが予想される。
(2015年07月07日「基礎研マンスリー」)
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