2015年02月24日

「高度外国人材」の獲得・活用へ向けての提言~シンガポール等の先進事例を踏まえたマーケティング視点からの考察

平賀 富一

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<要旨>

  1. 企業活動のグローバル化が進む中、ニーズと重要度が高まる「高度外国人材」を巡っては「国際的な人材獲得競争」ともいうべき状況が生じている。わが国として競争力と魅力ある条件や環境を提示・アピールし質量ともに必要とする人材を確保すべきである。
  2. 企業セクターを例に取れば、本格的に国際ビジネスを展開し、海外の有力企業との競争が激化する市場環境の中においては、求められる有能人材として、日本人だけでは限界があり、以下の理由から高度外国人材が必要とされている。 第一に当該人材の量的観点として、企業の国際的な競争力を維持・強化する上で必要とされる人材プールを確保するには日本人だけに候補者を絞ることには限界がある。 第二に質的な観点として、先進国・新興国を含めた世界市場で、企業が優れた製品・商品・サービスを提供していくためには、高度なマネジメント力、創造性・専門性、リーダーシップやコミュニケーション能力を持つ人材が求められる。特に、今後大きく拡大することが見込まれる新興国市場での事業展開においては当該国・地域の言葉・慣行・文化やニーズ・嗜好を熟知し、人脈を有する人材が強く求められる。かかる環境下で、各企業は有能な外国籍の人材の積極的な採用や能力開発、人事評価基準の統一化への取組みを強化しつつある。
  3. 他方、政府も高度人材の受入れ推進についての問題意識を有し、2012年からの「高度人材ポイント制 」による優遇制度の導入など各種の取組みを行っているが、現状、高度外国人材受入れ数の増加はそれほど進んでおらず、そのための諸制度を整備し積極的に推進しているシンガポールなどの先進諸国との比較においても見劣りする状況にある。
  4. わが国が高度人材の受入れに関する一貫した戦略を策定し、重要施策を実行し、所期の効果を挙げるためには、政府における取組みの司令塔たる専任組織を置き、それと関係諸機関・企業が連携して受入れ体制の構築・推進を行うと同時に、先進諸国の事例に見られるように、利用者視点からのマーケティング理論を応用して、わが国や企業等の取組みと内容を周知徹底し、本邦での就業・就学のメリットや魅力をアピールするための取組みが有用と考えられる。
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