- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- アジア経済 >
- 【韓国GDP】10-12月期は前期比+0.4%~輸出が冴えず、内需への波及効果が限定的に~
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1.10-12月期は前期比+0.4%
韓国銀行(中央銀行)は1月23日、2014年10-12月期の実質国内総生産(GDP)を公表した。実質GDP成長率は前期比(季節調整済)で+0.4%と、7-9月期(同+0.9%)から鈍化し、Bloomberg調査の市場予想(同+0.4%)どおりの結果となった。2014年通年の成長率は前年比+3.3%(2013年は同+3.0%)と、2年連続で加速した。
2.輸出が冴えず、内需への波及効果が限定的に
10-12月期の成長率は、消費・投資・輸出が7月の大型景気対策の反動と欧州・中国景気の伸び悩みの影響で振るわず、9四半期ぶりの低水準となった。先行きについても、輸出の伸び悩みによって消費・投資への波及効果には期待ができない状況は続くと見込まれ、景気回復の勢いは緩慢なものとなりそうだ。
世界経済は米国主導で緩やかな回復が見込まれるが、最大の輸出先である中国の鈍化と欧州の回復の遅れによって、輸出は引き続き伸び悩むこととなりそうだ。また、韓国の製造業は円安ウォン高や中国企業の技術水準の向上による競争激化に対して、輸出価格の引下げで対応することで輸出を拡大させている。このことは製造業の業績悪化を引き起こし、海外移転の加速を背景に輸出の鈍化や、国内向けの設備投資および雇用環境の改善が進まない要因となっている。
7月以降は、崔経済副首相が進める新たな経済運営方針「チョイノミクス」のもと、「46兆ウォン+α」の景気対策や不動産と住宅ローンの規制緩和など大胆な経済政策が打ち出されたほか、中央銀行も2段階の利下げ(7月・10月)に踏み切った。結果として不動産市場は改善してきたが、この副作用として家計債務残高が膨張しており、中期的には消費の足枷になるだろう。また、チョイノミクスによって縮小均衡に進みつつあるマインドの改善も期待されるが、足元の消費者と企業のマインド指数をみると低調に推移している。昨秋からの原油安は物価下落を通じて韓国経済にプラスに働くだろうが、内需の雲行きには陰りが見られる。
(2015年01月23日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1780
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/07/07 | ベトナム経済:25年4-6月期の成長率は前年同期比7.96%増~駆け込み輸出により製造業が好調 | 斉藤 誠 | 経済・金融フラッシュ |
2025/06/23 | 東南アジア経済の見通し~政策対応で内需は底堅いが、外需は不透明感増し、景気減速へ | 斉藤 誠 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/06/13 | インド消費者物価(25年5月)~5月のCPI上昇率は+2.8%、食品価格の低下が続いて6年ぶりの低水準に | 斉藤 誠 | 経済・金融フラッシュ |
2025/06/12 | インド株式市場における国内投資家の存在感と資金構造の変化 | 斉藤 誠 | 基礎研レポート |
新着記事
-
2025年07月11日
トランプ関税の日本経済への波及経路-実質GDPよりも実質GDIの悪化に注意 -
2025年07月10日
企業物価指数2025年6月~ガソリン補助金の影響などで、国内企業物価は前年比3%を割り込む~ -
2025年07月10日
ドイツの生命保険監督を巡る動向(2)-BaFinの2024年Annual ReportやGDVの公表資料からの抜粋報告(生命保険会社等の監督及び業績等の状況)- -
2025年07月09日
バランスシート調整の日中比較(後編)-不良債権処理で後手に回った日本と先手を打ってきた中国 -
2025年07月09日
貸出・マネタリー統計(25年6月)~銀行貸出の伸びが回復、マネタリーベースは前年割れが定着
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【【韓国GDP】10-12月期は前期比+0.4%~輸出が冴えず、内需への波及効果が限定的に~】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
【韓国GDP】10-12月期は前期比+0.4%~輸出が冴えず、内需への波及効果が限定的に~のレポート Topへ