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- ギリシャ、総選挙へ~SYRIZA勝利≠ユーロ離脱~
2015年01月16日
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- 1月25日のギリシャの議会選挙が迫ってきた。最大野党SYRIZA勝利の観測は、年明け後の世界的株価下落の一因となったが、その後の影響は12年に比べて限定的だ。
- 足もとのユーロ安の主な要因はギリシャ政局よりも、むしろ欧州中央銀行(ECB)の追加緩和期待にある。ギリシャ以外の国債の利回りは低下している。現在では、欧州安定メカニズム(ESM)など伝播を防ぐ「防火壁」も厚くなっている。
- ギリシャの財政事情も変わった。EU・IMF・ECB(トロイカ)の支援の一環として12年に行われた民間の損失負担による債務再編、公的支援に関する負担軽減、国債買戻しを通じて政府債務の残高は削減、満期が長期化し、財政の基礎的収支は黒字化した。
- ギリシャの耐性も向上し、債務不履行の場合の銀行システムを通じた影響は限られるようになったとは言え、ギリシャの安定はトロイカの監視下にあってこそ保たれている。SYRIZAを中心とする政権がトロイカとの合意からかけ離れた政策を実行した場合、支援打ち切りだけでなく、ECBの金融政策からも切り離されることになる。
- SYRIZAも、その支持者もユーロ圏からの離脱、EUからの脱退に発展することは本意ではない。SYRIZAも一方的な政策転換は否定している。トロイカとの妥協の余地を探る見通しだ。新政権には既得権益に切り込めるかどうかが問われよう。
(2015年01月16日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
伊藤 さゆりのレポート
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