- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 家計の貯蓄・消費・資産 >
- 資金循環統計(14年7-9月期)~個人金融資産は過去最高の1654兆円、前年比44兆円増だが、ドル建てでは大幅減
■見出し
・個人金融資産(14年9月末): 前期比では9兆円増
・資金流出入の詳細: リスク性資産への流入進む
・部門別資金過不足等: 企業の現預金残高が過去最高を更新
■要旨
2014年9月末の個人金融資産残高は、前年比44兆円(2.7%)増の1654兆円となった。残高は6月末を上回り、過去最高を更新している。年間で資金の純流入が21兆円あったのに加え、円安・株高を受けて時価 が23兆円増加したため残高が押し上げられた。四半期ベースでは、前期(14年4-6月)末比で9兆円の増加となった。例年7-9月期は一般的な賞与支給月を含まないためフローで流出超過となる傾向があり、今回も1兆円の流出超過となったが、円安・株高を受けて時価が10兆円増加した。このように、過去最高を更新している個人金融資産であるが、ドル建てで換算すると、前年比8.2%も減少している。急激な円安によって、現預金などがドル建てで大きく目減りしたためだ。世界基準で見ると、日本の個人金融資産の存在感は縮小している。また、円建てでも、個人金融資産の前年比増加率(2.7%)は、消費者物価上昇率に届かず、実質的な価値は減少しているだけに、手放しで評価できない面もある。
7-9月期の個人金融資産への資金流出入の詳細では、投資信託と株式・出資金への資金流入計が1兆円余りのプラスを維持している。全体からすれば限定的な規模ではあるが、リスク性資産への資金流入は近年を上回る勢いであり、今年から開始したNISAが少なからず影響していると考えられる。
国債の9月末残高は1015兆円と6月末から2兆円増加し、過去最高を更新した。その保有状況を見ると、異次元緩和で国債の大量買入れを継続している中央銀行(日銀)の保有高が18兆円増加しており、全体に占めるシェアも22.9%へと上昇した。
9月末の民間非金融法人の現預金残高は233.1兆円と、6月末から4兆円増加し、過去最高を更新した。前年比でみても、現預金は9兆円増加している。企業収益は堅調さを維持している一方、設備投資等の増加は今のところ限定的に留まっているため、現預金が高い水準で保たれている構図とみられる。
(2014年12月18日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1870
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
上野 剛志のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2024/10/01 | 日銀短観(9月調査)~景況感はほぼ横ばい、設備投資は堅調維持、日銀の見通しに概ね沿った内容に | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
2024/09/19 | 資金循環統計(24年4-6月期)~個人金融資産は前年比98兆円増の2212兆円と過去最高に、リスク性資産への投資が進む | 上野 剛志 | 経済・金融フラッシュ |
2024/09/18 | 日銀短観(9月調査)予測~大企業製造業の業況判断DIは1ポイント低下の12と予想、価格転嫁の勢いに注目 | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
2024/09/17 | 円相場は一時1ドル140円割れ、円高は続くか?~マーケット・カルテ10月号 | 上野 剛志 | 基礎研マンスリー |
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年10月03日
暑さ指数(WBGT)と熱中症による搬送者数の関係 -
2024年10月03日
公的年金の制度見直しは一日にしてならず -
2024年10月03日
市場参加者の国債保有余力に関する論点 -
2024年10月03日
先行き不透明感が晴れない中国経済 -
2024年10月03日
市場構造の見直しと企業価値向上施策による株式市場の活性化
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
【資金循環統計(14年7-9月期)~個人金融資産は過去最高の1654兆円、前年比44兆円増だが、ドル建てでは大幅減】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
資金循環統計(14年7-9月期)~個人金融資産は過去最高の1654兆円、前年比44兆円増だが、ドル建てでは大幅減のレポート Topへ