- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- ジェロントロジー(高齢社会総合研究) >
- 高齢化問題(全般) >
- 老後への備えができないのはなぜか?
■要旨
30~50歳代の会社員(厚生年金加入者)を対象に、老後の準備ができない要因について、独自のアンケート調査の結果を利用して検証した。老後の準備ができないことを示す変数としては、毎月の支出額のうちの「貯蓄額」を利用した。毎月の貯蓄額がゼロの者を準備ができない「準備なし」群、貯蓄額が少しでもある者を準備ができている「準備あり」群とし、両者で老後の準備ができない要因について差があるかを比較した。分析の対象とした要因は、過去の研究の研究蓄積を参考にして、流動性制約、逆選択、時間選好率、知識不足、複利効果認識不足である。また、年収の多寡により、老後の準備ができない要因に違いがある可能性があるため、低年収グループと高年収グループの2つのグループにわけて分析を行った。
その結果、低年収グループにおいては、老後の準備が進まない理由として、年収に占める生活費支出の割合の比率が高く、貯蓄にまわすお金の余裕がないという流動性制約がうかがえる。また、時間選好率が高く貯蓄が苦手で、現在の生活の満足度を高めたいことや、老後の準備をどのように行ったらよいか、どのような金融商品を利用すれば良いかなどの金融・経済の知識が不足していることが老後の準備が進まないことに関連していた。
高年収グループにおいては、老後の準備が進まない理由として、現在の生活を満足させたい傾向が高く、収入と比較して多額の住宅ローン返済、高い教育費、高い生活費により、貯蓄するお金が残らないことが要因だと考えられる。また、非常に長生きする確率を過小評価している傾向があった。
(2014年12月03日「基礎研レポート」)
北村 智紀
研究・専門分野
北村 智紀のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2017/12/29 | 公的年金改革があると考える人はNISAやiDeCoに加入するか?-自助努力を進める可能性に関する実証分析 | 北村 智紀 | 基礎研レポート |
2017/11/30 | 公的年金の支給開始年齢が引き上げられると考える人は、自分で老後の準備を進めているか? | 北村 智紀 | 研究員の眼 |
2017/09/29 | ねんきん定期便はライフプラン設計を改善するか?-インターネット調査を利用した検証 | 北村 智紀 | 基礎研レター |
2017/07/31 | やりくりに余裕がない家計は変動金利を選択する傾向がある~家計の住宅ローン金利の決定要因分析~ | 北村 智紀 | 研究員の眼 |
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年09月10日
今週のレポート・コラムまとめ【9/3-9/9発行分】 -
2024年09月09日
米国経済の見通し-24年後半にかけて景気減速も景気後退は回避を予想 -
2024年09月09日
お月見×たまご-消費の交差点(7) -
2024年09月09日
2024・2025年度経済見通し-24年4-6月期GDP2次速報後改定 -
2024年09月09日
米雇用統計(24年8月)-非農業部門雇用者数が市場予想を下回ったほか、過去2ヵ月分が大幅に下方修正
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
【老後への備えができないのはなぜか?】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
老後への備えができないのはなぜか?のレポート Topへ