2014年08月20日

【7月米住宅着工】悲観すぎる見方はひとまず後退

経済研究部 主任研究員 高山 武士

文字サイズ

【要旨】

結果の概要:着工、建築許可ともに予想を上回る増加

8月19日に米国商務省と住宅都市開発省(HUD)が共同で7月の新築住宅建設統計を公表した。
注目度の高い7月の住宅着工件数は季節調整済の年換算で109.3万件(前月改定値:94.5万件)となり前月から増加、市場予想(Bloomberg集計の中央値、以下同様)の96.5万件も上回った。増加率は前月比で+15.7%(前月改定値:▲4.0%、市場予想:+8.1%)であった。同時に発表された7月の住宅建築許可件数は105.2万件(前月改定値:97.3万件)となり、こちらも前月や市場予想(100.0万件)を上回った。住宅建築許可件数の増加率は前月比で+8.1%(前月改定値:▲3.2%、市場予想:+2.8%)であった。
また、住宅着工が公表される前日の8月18日には全米住宅建設業協会(NAHB)が住宅建築業者の景況感を示す住宅市場指数(HMI)を公表している。8月のHMIは55となり、前月(53)や市場予想(53)をともに上回った(詳細はPDFを参照)。
7月の住宅着工や建築許可件数は大きく増加、また建築業者の景況感も良好なことが明らかになった。前月(6月)の着工件数や住宅販売は、住宅市場の不調を示唆する結果となっていただけに、今回発表された住宅着工件数が予想を上回る拡大を見せたことは久しぶりの良いニュースと言える。今後、改定値により数値は修正されるが、ひとまず悲観的になりすぎる必要がないことは確認できたと言える。足もとでは住宅価格の一服も見られるため、住宅の供給拡大とともに住宅販売の回復ペースが加速する期待も持てる。今後は、住宅販売統計の動向も注目される。


住宅着工件数とNAHB住宅市場指数/住宅着工件数と実質住宅投資の伸び率

Xでシェアする Facebookでシェアする

経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2002年 東京工業大学入学(理学部)
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

公式SNSアカウント

新着レポートを随時お届け!
日々の情報収集にぜひご活用ください。

週間アクセスランキング

レポート紹介

【【7月米住宅着工】悲観すぎる見方はひとまず後退】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

【7月米住宅着工】悲観すぎる見方はひとまず後退のレポート Topへ