- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 中国経済 >
- 米国と中国、経済的影響力が大きいのは?
■要旨
1―モノの貿易では米中逆転
昨2013年、中国のモノの貿易総額が米国を抜き世界一となった。G20諸国の輸出先を見ると、中国向けのシェアは10年前と比べてアルゼンチンを除く全ての国で上昇しており、特にオーストラリアでは36.1%、南アフリカでは32.0%、韓国では26.1%、ブラジルでは19.0%と米国向けを大きく上回ってきており、中国の経済的影響力は徐々に増しつつある。
2―米国の経済的影響力は依然大きい
しかし、(1)中国ではモノの貿易の3分の1が加工貿易で、最終消費地は米国である場合も多く、付加価値ベースで見ると中国向けは見かけほど大きくないこと、(2)サービス貿易では中国は米国の半分程度に留まり、特に特許権使用料及び使用許諾料や金融では米国に遠く及ばないこと、(3)株価相関の上でも中国株との連動性はまだ低く世界の株価に与える影響は米国株の方が大きいことなどから、米国の経済的影響力は中国を上回ると思われる。
3―世界経済への影響力が米中逆転する日はくるのか?
中国が取り組んでいる構造改革が進展すれば、中国は生産拠点から最終消費地に脱皮し、モノに加えてサービスの貿易も増えて、株価相関の上でも中国株との連動性が高まって、中国の経済的影響力が米国を上回る可能性もあるだろう。しかし、“社会主義市場経済”を標榜する中国にとっては、資本主義国よりも構造改革を進める上でのハードルが高く、習近平政権がよほど強いリーダーシップで推進しなければ構造改革は進まないだろう。
米国と中国の世界経済への影響力の変化は、国際政治におけるバランス・オブ・パワーにも影響するだけに、米中両国と日本以外の国との経済関係をできる限り多角的に押さえておく必要がありそうだ。
三尾 幸吉郎
研究・専門分野
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年04月17日
IMF世界経済見通し-24年の見通しをやや上方修正 -
2024年04月17日
不透明感が高まる米国産LNG(液化天然ガス)輸入 -
2024年04月17日
英国雇用関連統計(24年3月)-失業率は増加し、雇用者数も減少 -
2024年04月17日
米住宅着工・許可件数(24年3月)-着工件数は23年8月以来の水準に低下、市場予想を大幅に下回る -
2024年04月17日
EUにおけるAppleへの制裁金納付命令-音楽ストリーミングアプリに関する処分
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
【米国と中国、経済的影響力が大きいのは?】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
米国と中国、経済的影響力が大きいのは?のレポート Topへ