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- 3.11の後、BCP(事業継続計画)は増えたのか?-危機的事象の原因を問わず、経営資源への影響に着目すべきBCP
■目次
はじめに (想定外とBCP)
1――「想定外の連鎖」の構図
1│ 3.11で明らかになった「想定外の連鎖」
2│ 3.11の経験が活かされなかったタイの大洪水
2――3.11後のBCP策定状況
1│ BCP策定は3.11前の2割から4割へ倍増
2│ 業種特性を反映するBCP策定
3│ 地域により大きく異なるBCP策定
3――リスク・マネジメントとしてのBCPに向けた課題
1│ 「災害の原因」ごとに策定するBCPの限界
2│ 策定すべきは「経営資源への影響」に着目したBCP
おわりに (想定外をなくすために)
■要約
〔想定外の連鎖〕
- 2011年の東日本大震災から3年が過ぎた。同年10月には日本企業が多く操業するタイの工業団地群で未曾有の大洪水が発生した。いずれも、これまで経験したことのない甚大な被害を受けた。共通するキーワードは「想定外」であろう。そして、BCP(事業継続計画)もその一つである。
- 1995年の阪神・淡路大震災やその後の新型インフルエンザの世界的流行を契機として、BCPを策定する日本企業は増えた。しかし、東日本大震災やタイの大洪水を経験した企業からは、「BCPは思ったほど機能せず、復旧に時間がかかった」という声が少なくなかった。何故であろうか。
- 一つには「想定外の連鎖」がある。関東の企業はBCP策定に当たって直下型地震を想定していたが、3.11においては遠い震源地からの影響は想定外であった。つまり、二次・三次災害に対応するBCPそのものが存在せず、計画停電やサプライチェーン途絶への事前対策は皆無に等しかったのである。
〔本来のBCPの姿〕
- もう一つは、3.11前に策定されたBCPの発動基準は、「災害の原因」の規模であったこと。つまり、重要事業の継続のために「経営資源への影響」の程度に応じた事前対策を講じる、本来のBCPとはなっていなかったのである。
- 3.11の地震・津波・原発事故とタイの大洪水による操業停止・減産を経験し、「想定外を無くす」という教訓を得た現在、日本企業のBCP策定状況はどのようなものであろうか。日本生命、ニッセイ・リースの「ニッセイ景況アンケート調査結果 2013年度下期調査」によれば、BCPを策定している企業は、3.11前の2割から4割へと倍増した。「検討中」を加えると7割となる。
- しかし、BCPで想定する災害などをみると、「地震・津波」が8割と圧倒的に多い。本来の「特定の災害を前提とせず、自社業務等の被災状況を想定する」は2割に過ぎず、3.11前後ではむしろ減少している。そこで、リスク・マネジメントとしてのあるべきBCP策定に向けた課題を明らかにする。
(2014年03月26日「基礎研レポート」)
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