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- 【台湾GDP】高成長達成も懸念払拭には至らず
1.現状:成長率は大幅改善
台湾の行政院主計処(DGBAS)は1月28日、2013年10-12月期の実質域内総生産(GDP)の速報値を公表した。成長率は前年同期比(原系列)で+2.92%となり、前期の2013年7-9月期(同+1.66%)から大幅に改善した。また、前期比(季節調整済)の伸び率でも+2.43%(年率換算では+10.08%)と大きく加速している。その結果、2013年通年の成長率は前年比+2.19%と前期(同+1.48%)から改善、同機関が11月時点に予測していた伸び率(同+1.74%)を上回った。
2.先行き:油断はできない
台湾の2013年10-12月期の成長率は前年同期比で3%近くを達成、前期比年率で10%を超える伸び率を記録した。当局の11月の予測(前年同期比で+1.22%、前期比年率で+2.96%)や市場予測(前年同期比で+1.83%、bloomberg集計)を大幅に上回っており、ポジティブサプライズだったと言える。ただし、2013年は一進一退の状況が続いており、今期の内容も、好感できる材料がある一方で、肝心の輸出が伸びていないことから、懸念も残る結果だったと言える。
消費については、昨年後半、台湾で食品偽装問題が大きな社会問題になったため、低迷も懸念されたが、この影響はほとんど見られなかったと言える。今期は車を中心に耐久消費財の売れゆきが良かった。春節(旧正月)前で需要が伸びやすい時期だったことに加え、自動車会社による販売促進運動や中国人を中心とする観光客の増加が内需の伸びに寄与したと言える。
投資についても、昨年後半には米Apple社のiPhoneやiPadの新機種発売があり、需要が押し上げられたことが追い風になった。
一方、輸出については、まだ油断できない状況と言える。輸出シェアで約4割を占める中国・香港向けの輸出、そして日米欧の先進国向けの輸出について明確な改善は見られない。輸出が伸びなければ、消費や投資の伸びも持続せず、再び鈍化してしまう可能性が高い。台湾内でもPCやパネルなど一部の業種では需要の回復が見られないことも踏まえると、半導体を中心とした輸出回復だけでどこまで支えられるか不透明な部分もある。いずれにせよ、3%近い成長を達成したとは言え、油断できない状況であると言えるだろう。
(2014年01月29日「経済・金融フラッシュ」)
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- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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