- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- アジア経済 >
- 【タイGDP】高成長見通しに黄信号点灯か
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1.弱含みが見られる結果
タイの国家経済社会開発委員会事務局(NESDB)は5月20日に2013年1-3月期の国内総生産(GDP)を公表した。実質GDP成長率は前年同期比(原系列)で+5.3%となり、洪水からの復旧で大幅に伸びていた前期(前年同期比:+19.1%)から失速した。前年同期は洪水被害が残っており、ベース効果で成長率が高めに出やすいことを考えると、5%台の伸び率を記録したものの、弱い結果だったといえるだろう。前期比(季節調整値)で見ても2.2%の減少となり、復興需要と景気刺激策に支えられた急回復からの反動が感じられる。
2.高成長に黄信号点灯か
10-12月期は前年同期比+19.1%と予想以上の高成長を達成したタイだが、その反動もあって、今回発表された1-3月期の伸び率は力強さに欠けた結果だったと言える。そして、今後についても成長率が弱含む懸念は残る。
NESDBは、対ドルでのバーツ高や円安の進行がタイの競争力を削ぐと見ており、輸出の伸び悩みはしばらく続くと想定される。また、今後は内需の息切れがさらに鮮明になってくるだろう。一方、中期的に見れば成長を後押しする材料もある。インラック政権が公表した約2兆バーツ(対GDP比で約18%)のインフラ投資計画(2020年までの7年間にわたる計画、過半が鉄道の整備に充てられる予定)は、長期的な潜在成長率を引き上げる要因となる。
したがって、今後は内需・外需双方の動向と政府の投資計画の進捗に注目が集まるだろう。短期的には中銀が利下げを行い、バーツ高の抑制と内需の喚起を促す可能性が高いと見られるが、実際にどれだけの効果が見られるかが焦点となるだろう。また中期的には、インラック政権が安定した政策運営を続け、インフラ投資計画を実行していけるかが注目されるだろう。
(2013年05月21日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1818
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
高山 武士のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/06/20 | 英国金融政策(6月MPC公表)-金利据え置きで従来の利下げペースを維持 | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
2025/06/19 | ロシアGDP(2025年1-3月期)-前期比成長率でマイナスに転じる | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
2025/06/12 | ロシアの物価状況(25年5月)-インフレ圧力の軽減傾向が継続 | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
2025/06/12 | 欧州経済見通し-回復基調だが、関税を巡る不確実性は大きい | 高山 武士 | Weekly エコノミスト・レター |
新着記事
-
2025年07月01日
国際的に注目を集めるAsset-Intensive Reinsurance(AIR)を巡る動向 -
2025年07月01日
今週のレポート・コラムまとめ【6/24-6/30発行分】 -
2025年06月30日
食品ロス削減情報の比較可能性-何のための情報開示か? -
2025年06月30日
鉱工業生産25年5月-4-6月期は2四半期連続減産の可能性が高まる -
2025年06月30日
マスク着用の子どもへの影響-コロナ禍の研究を経て分かっていること/いないこと
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
【【タイGDP】高成長見通しに黄信号点灯か】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
【タイGDP】高成長見通しに黄信号点灯かのレポート Topへ