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- アジア新興国・地域の経済見通し~ようやく見えた改善、これから回復へ
2012年12月21日
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- 昨年以降、アジア全体の成長率は減速を続けてきた。足もとでは下げ止まってはいるものの、回復には至っていない。国別の成長率は二極化傾向が定着しており、輸出低迷により内需も冴えない韓国・台湾と、高インフレに悩まされるインドの成長率は低く、内需が堅調なASEANの成長率は高い状況が続いている。
- 金融市場については、インドを除いて比較的波乱の少ない展開であった。しかし、韓国やフィリピンなどでは通貨高懸念が生じており、中央銀行が利下げを行う誘因となっている。インドでは、投資家心理の動きに振られ、為替相場は大きく上下する展開となった。
- インフレ率はインドを除き安定しており、これが、中央銀行の利下げ余地を拡大している。通貨高という要因も手伝って、実際にいくつかの国では利下げが行われた。一方、インドでは供給制約が根強く、インフレ率は依然として高止まりを見せている。
- 先行きについては、成長率は今が底であり、今後は低迷している韓国・台湾・インドは回復に向かうと考えている。ただし、回復ペースはゆっくりで、韓国・台湾・インドの2013年の成長率は潜在成長率を下回るだろう。そのため、これらの国においては金融緩和の時機を探る展開になると考えられる。
- リスク要因としては、それぞれの国・地域に固有の問題を抱えているほか、海外経済の回復が遅れることが考えられる。特に欧州では債務問題、米国では財政の崖、中国では景気刺激策の不発というそれぞれに成長低迷のリスクを抱えている。ただし、海外経済の環境について、これらのリスクが顕在化し、アジアの成長を低迷させる可能性は低いと見ている。
(2012年12月21日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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