コラム
2012年11月21日

東京のオフィスビルはアジアの超高層ビルに対抗できるか? - グローバル企業テナントの誘致競争におけるヒント

増宮 守

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JR東京駅丸の内駅舎が話題を集めているが、同エリアでは、新駅舎以外にも、駅前のJPタワーや丸の内永楽ビルなど、超高層ビルが相次いで建設され、圧巻の都市景観がみられる。今年、東京では大型オフィスビルの竣工が続き、不動産業界では「2012年問題」と懸念されるほどであった。特に大手町・丸の内エリアでは、この数年、常に何らかのビル建設工事が進行しており、成長著しい新興国のような勢いを感じさせる。

このような東京の超高層ビル群も十分に迫力があるが、アジア主要都市の超高層ビルはさらに圧倒的である。東京の超高層ビルでは、最高層の東京ミッドタウンタワーが248mであり、200m級は最高層の部類に入る。一方、上海の浦東では多数の300m超のビルに加え400m超も複数存在する。さらに、建設中の上海タワーは実に632mとなる予定である。東京スカイツリーの高さのオフィスビルを想像すればその巨大さが想像できるだろう。しかし、上海の浦東が必ずしも特別な超高層ビル街ということではなく、300m級が林立するシンガポール、300m級に加え400m超が複数ある香港など、アジア主要都市の超高層ビルは東京のビルに比べはるかに高層かつ巨大となっている。その他、天津や武漢などの中国地方都市でも、500m級の建設予定がいくつもあり、中国以外をみても、高成長都市のジャカルタで600m超、経済成熟度の高い韓国でも、ソウルで600m超と500m超、釜山で500m超の建設予定があるなど、アジア各都市におけるビルの高層化は止まるところを知らない。

昨今、アジア主要都市との競争激化に伴い、多方面において東京の国際競争力強化についての議論が高まっている。税制を含む幅広い戦略を検討する国や都と比べると、不動産業界で対応できる余地は限られるといえるが、アジア主要都市との間で激化するグローバル企業テナントの誘致競争に際し、更なる努力が必要といえる。ただし、上記のように東京がビルの高さや規模でアジア主要都市と競争することは難しい。隅々まで開発済みの東京では、500mもの超高層ビル容積を確保する広大な開発用地の確保は困難であり、また、技術力に問題はなくとも、地震リスクがある中、過度な高層階は利用者にとっても快適とはいえない。オフィス需給面からみても、あまりに巨大な新規供給は空室の急増に繋がる懸念が強い。

アジアではビルの外観や高さを重視する傾向が強いが、東京のビルは異なる面の優位性をアピールして対抗してはどうだろうか。震災以降、テナントや投資家意識は大きく変化し、防災・省エネにおける取り組みでは、東京のビルは世界的にも最先端グループといえるだろう。さらに、最近の東京のオフィスビルには、駅直結の商業複合ビルが増加し、世界で最も発達した鉄道網の機能を十分に引き出す利便性の追及がなされている。住居の狭さや通勤の混雑について不便な印象のある東京だが、駅を中心に勤務とレジャーが一体となった利便性の高さは特筆すべきものであり、このことを効果的にアピールすればグローバル企業の東京誘致に貢献するのではないだろうか。


 
 2003年には六本木ヒルズや汐留の各ビルなど、大型オフィスビルの大量供給計画があったため、オフィス賃貸市場の需給悪化を懸念して「2003年問題」と呼ばれた。

 増宮 守、「拡大続く上海オフィス市場」ニッセイ基礎研究所、不動産投資レポート2012/7/2


 増宮 守、「香港オフィス市場の特徴」ニッセイ基礎研究所、不動産投資レポート2012/5/28

 増宮 守、「駅直結、商業複合化が顕著な東京の最新Aクラスビル」ニッセイ基礎研究所、不動産投資レポート2012/11/15

(2012年11月21日「研究員の眼」)

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