2012年10月12日

9月マネー統計~投資信託の下落率が最大に

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

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■見出し

・貸出動向:5ヵ月連続で伸び率が拡大
・マネタリーベース:再び過去最高を更新
・マネーストック:投資信託の下落率が最大に

■introduction

日銀が発表した9月の貸出・資金吸収動向等によると、銀行貸出(平残)の伸び率は対前年1.2%(前月は同1.1%)と09年10月以来の高い伸び率になった。伸び率拡大は5ヵ月連続と増勢が徐々に強まってきている。業態別では、地銀が前年比2.8%、都銀等が同▲0.3%と、依然地銀優勢の状況が続いている。
電力会社向けやM&A絡みの資金需要が続いているとみられるほか、被災地での復興関連需要も地域間格差が出てきたとはいえ全体として堅調を維持している。また、長らく減少を続けてきた中小企業のマイナス幅が近頃縮小してきている点も明るい材料だ(図表1~5)。

ただし、9月日銀短観でも確認されたように、世界経済の不透明感や長引く円高などで企業の景況感は厳しさを増している。また、日中関係の緊迫化なども景況感の下ぶれリスクになっている。銀行貸出は設備資金を中心に景況感の影響を大きく受けるため、引き続き警戒が必要な状況にある(図表6)。

(2012年10月12日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴
  • ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
    ・ 2007年 日本経済研究センター派遣
    ・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
    ・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

    ・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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