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日本にとってのロンドン五輪はアテネを上回る過去最高のメダル数という華々しい結果で幕を閉じたが、前評判が高かったものの終盤までメダルがとれなかった大会を覚えておられるだろうか? 6年前の2006年にイタリアのトリノで行われた冬季五輪は、日本がメダルなしに終わるかもしれないという重圧の中で、最後の最後に荒川静香選手が金メダルを獲得した大会であった。
さて、その4年前の2002年に、小柴昌俊博士などが「ニュートリノ」の研究でノーベル物理学賞を受賞し、大きく報道された訳だが、既にトリノでの冬季五輪の開催が決まっていたためか、私にはこれが「ニュー・トリノ」と読めて仕方がなかった。頭では「ニュートラル」とかと似た言葉だと分かるのだが、どうしても「トリノ」が浮かびあがって見えてしまう。
数年前に大地震に見舞われたハイチの首都「ポルトープランス」も、半濁点がついているにもかかわらず「フランス」が浮き彫りになる(その前の「ポルトー」が「ボルドー」に似ているのも曲者だ)。原語を調べてみると Port au Prince (王子の港)とのことで、そこから入れば間違いようもないのだが、横文字恐怖症の身としては、どうしてもカタカナから入ってその字面に影響を受けてしまう。
頭では分かっているケースはまだよいが、間違ったことを正しいと思い込んでしまうこともままある。先ほどの例でいえば、「ニュートリノ」=「ニュー・トリノ」と思い込むケースであり、われわれが調べものをしてレポートを書く上では、これは避けねばならない。特に海外事情については、「ところ変われば事情も変わる」のだが、日本での「常識」など限られた知識で分かりやすいストーリーを描き、そのストーリーに沿って分かりにくい現地事情を解釈し、結果間違ってしまうケースがあることは否定できない。ここ2-3年、村木さん事件など検察のいわゆる「見立て捜査」が問題になっているが、こうしたことは、事柄の軽重の差はあれ、どんなところでも起こりうる。難しいことではあるが、思い込みを排し、予断を排して、物事に臨みたいものである。
(2012年08月14日「研究員の眼」)
明田 裕
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