- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融市場・外国為替(通貨・相場) >
- 牽引役不在の時間帯~マーケット・カルテ8月号
欧州に対する市場の警戒感が収まらない。6月末にEUが支援合意に至り、一旦沈静化するかに見えたスペインの金融不安は結局払拭されず、同国長期金利は危険水域とされる7%をうかがう水準にある。ユーロの対円レートはこの警戒感に加えてECB(欧州中央銀行)の利下げの影響を受けて下落。今後も危機解決には時間がかかり、さらなる利下げ観測も根強いため、ユーロレートは当面上昇しにくい。
また世界的にファンダメンタルズも厳しい。欧州はもとより主要国経済は軒並み減速感が色濃く、世界を見渡した際に牽引役が見当たらないのが現状だ。米経済も弱めの指標が多い中でQE3(量的緩和第3弾)期待が燻るだけに、当面ドルを積極的に買う展開にはならないだろう。ただし、貿易赤字による実需の円買い鈍化や、介入警戒感という円高抑制要因もあり、円・ドルレートは当面膠着状態が続くと見る。
日本の長期金利は強いリスク回避姿勢、世界経済の減速感、金融緩和の流れという3点セットを理由に低迷が続いており、今後もしばらく事態の急変が見込まれないなか、低位で推移すると見る。
ただし、時間軸を半年まで伸ばせば、現状よりも円安ユーロ高、円安ドル高、金利高になっているという予想に変更はない。欧州の問題対応は遅いながらも前進し、警戒感は現状より緩和しているはずだ。また、米経済についても構造問題の一つである住宅指標に明るい兆しが見えており、徐々に景気低迷感が薄れていくと見ている。
(2012年08月01日「基礎研マンスリー」)
このレポートの関連カテゴリ
![](https://www.nli-research.co.jp/files/topics/82_ext_01_0.jpeg?v=1697424457)
03-3512-1870
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
上野 剛志のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2024/07/22 | 介入・米利下げ観測で円安一服、いよいよ円高が進む?~マーケット・カルテ8月号 | 上野 剛志 | 基礎研マンスリー |
2024/07/16 | 貸出・マネタリー統計(24年6月)~都銀の貸出が記録的な伸びに、日銀の資金供給量は前年割れが視野に | 上野 剛志 | 経済・金融フラッシュ |
2024/07/05 | 止まらない円安、反転の条件は? | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
2024/07/01 | 日銀短観(6月調査)~景況感は小動きだが消費関連に弱さも、企業の物価見通しは上振れ | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年07月26日
職場における温度、匂い、音等は、どういう人がシンドイと思っているのか -
2024年07月26日
米GDP(24年4-6月期)-前期比年率+2.8%と前期から大幅上昇、市場予想の+2.0%も大幅に上回る -
2024年07月26日
お金の流れでみる日本経済 -
2024年07月25日
消えた580兆円~住宅投資をしても残高の増加は限定的~日本の住宅投資はなぜ「資産化」しないのか~ -
2024年07月24日
中国経済の現状と注目点-好調は持続せず、不動産不況と貿易摩擦で弱り目に祟り目の中国経済
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
【牽引役不在の時間帯~マーケット・カルテ8月号】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
牽引役不在の時間帯~マーケット・カルテ8月号のレポート Topへ