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欧州に対する市場の警戒感が収まらない。6月末にEUが支援合意に至り、一旦沈静化するかに見えたスペインの金融不安は結局払拭されず、同国長期金利は危険水域とされる7%をうかがう水準にある。ユーロの対円レートはこの警戒感に加えてECB(欧州中央銀行)の利下げの影響を受けて下落。今後も危機解決には時間がかかり、さらなる利下げ観測も根強いため、ユーロレートは当面上昇しにくい。
また世界的にファンダメンタルズも厳しい。欧州はもとより主要国経済は軒並み減速感が色濃く、世界を見渡した際に牽引役が見当たらないのが現状だ。米経済も弱めの指標が多い中でQE3(量的緩和第3弾)期待が燻るだけに、当面ドルを積極的に買う展開にはならないだろう。ただし、貿易赤字による実需の円買い鈍化や、介入警戒感という円高抑制要因もあり、円・ドルレートは当面膠着状態が続くと見る。
日本の長期金利は強いリスク回避姿勢、世界経済の減速感、金融緩和の流れという3点セットを理由に低迷が続いており、今後もしばらく事態の急変が見込まれないなか、低位で推移すると見る。
ただし、時間軸を半年まで伸ばせば、現状よりも円安ユーロ高、円安ドル高、金利高になっているという予想に変更はない。欧州の問題対応は遅いながらも前進し、警戒感は現状より緩和しているはずだ。また、米経済についても構造問題の一つである住宅指標に明るい兆しが見えており、徐々に景気低迷感が薄れていくと見ている。
(2012年08月01日「基礎研マンスリー」)
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03-3512-1870
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
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