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- 雇用関連統計12年6月~雇用情勢は持ち直しているが、製造業は好転の兆しが見られず
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■見出し
・失業率は前月から0.1ポイント低下の4.3%
・労働需給は改善が続くが、製造業は厳しい
■introduction
総務省が7月31日に公表した労働力調査によると、12年6月の完全失業率は前月から0.1ポイント低下し4.3%となった(QUICK集計・事前予想:4.4%、当社予想は4.5%)。
労働力人口が前月から18万人増える中、就業者数が27万人の増加となったため、失業者数は前月に比べ8万人の減少となった。また、前年と比べた雇用者数は4万人増と6ヵ月ぶりの増加となった。労働市場への参加者が増える中で就業者がそれを上回る増加となったことで失業率が低下しており、良い内容といえる。ただし、労働力調査は月々の振れが大きい統計であるため、今月の結果から雇用情勢が大きく改善していると判断するのは早計だろう。
雇用者数の内訳を産業別に見ると、生産活動がこのところもたついていることもあり、製造業は前年比▲15万人減(5月:同▲20万人減)と10ヵ月連続の減少となったが、復興関連事業の本格化に伴う公共工事の急増を反映し、建設業が前年比11万人増(5月:同1万人増)と増加幅が拡大したほか、雇用増の主役となっている医療・福祉も27万人増(5月:同19万人増)となった。
厚生労働省が7月31日に公表した一般職業紹介状況によると、12年6月の有効求人倍率は前月から0.01ポイント上昇し0.82倍となった(QUICK集計・事前予想:0.82倍、当社予想も0.82倍)。有効求職者数が前月比0.0%の横ばいとなる中、有効求人数が前月比1.3%と15ヵ月連続で増加した。
新規求人数を産業別に見ると、建設業、卸売・小売業、情報通信業などが前年比で二桁の伸びを続ける一方、製造業は5月の前年比18.2%から6月には同▲1.1%と2年6ヵ月ぶりに減少に転じた。労働需給は全体としては改善傾向が続いているが、生産活動の停滞を反映し、製造業の雇用は当面減少が続く可能性が高いだろう。
(2012年07月31日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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