2012年03月23日

中国経済:全人代と2012年度経済運営の方向性

三尾 幸吉郎

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  1. 中国では第11期全国人民代表大会(全人代、国会に相当)第5回会議が開催された。今年の全人代は、秋に最高指導部の大幅入替が予想されるだけに、政治問題が世界の注目を浴びたが、今年度の経済運営の方向性も示している。
  2. 今年度の経済に関する数値目標のポイントは、(1)成長率目標の8.0%から7.5%への引き下げ、(2)消費・投資の目標を引き下げるとともに雇用関係目標は前年度水準を維持、(3)研究開発や省エネ環境保全など構造転換に関する目標は高い目標を維持、の以上3点。
  3. 今年度の財政政策運営のポイントは、(1)積極的な財政政策の継続、(2)財政支出面では教育や社会保障など民生関連に重点配分、(3)「三公」経費の抑制や地方政府債務の整理など過去の負の遺産の整理を推進、(4)戦略的新興産業や中小零細企業の支援強化、以上の4点。
  4. 今年度の金融政策運営のポイントは、(1)社会融資総量の適正な伸びを維持、(2)銀行の貸出構造を最適化、(3)人民元為替レートの形成メカニズムを改善、(4)不動産価格抑制策の堅持、の以上4点。
  5. 現指導部にとり最終年度となる今年度の経済運営は、従来よりもやや低めの成長率を甘受しても、過去の負の遺産の整理を十分に進めた上で新指導部へバトンタッチし、円滑な政権移行を図る方向と思われる。また、景気急減速の場合等には、財政・金融の両面で政策発動余地を残すだけに、効果的な景気刺激策を打ち出す余力を温存したともいえる。



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(2012年03月23日「Weekly エコノミスト・レター」)

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