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- アジア新興国・地域の少子高齢化が経済にもたらす影響
2012年02月29日
■要 旨
- 高齢化はアジア全体の問題である。日本の高齢化は、欧米と比較して速いスピードで進んだが、アジアには日本を上回るスピードで高齢化が進む国・地域もある。今後、高齢化問題はアジアの多くの新興国・地域で取り組むべき課題として顕在化してくる。
- アジア新興国・地域は今まで高成長を達成してきた。その理由のひとつとして「人ロボーナス」という構造要因が挙げられる。「人ロボーナス」期には労働量や資本量が増加し、成長が加速しやすい。しかし、この「人ロボーナス」は少子高齢化によって近い将来に失われてしまう。それに伴って、アジア新興国・地域の成長率も鈍化していく。
- 50年後(2060年)の一人当たりGDPの水準はアジアの国・地域によって大きな違いが生じると見込まれる。韓国や台湾では現在よりさらに高い所得を得られると想定される。日本は、一人当たりGDPの伸び悩みという壁にぶつかる。高齢化により、所得を生みだす労働力が低下する反面、所得の分配対象となる高齢者は増加するためである。したがって一人当たりで計算した場合のGDPはなかなか増加しない。タイやインドネシアのような国では、2060年時点でも現在の日本ほどの一人当たりGDPには到達しないと見込まれる。しかし、こうした国でも高齢化は進んでおり、自分の収入を満足に得られない労働者が多いなか、高齢者が増えていく。所得水準が低いと社会保障環境の整備も進みにくいため、こうした国・地域では、貧困高齢層に対する生活保護が行き届かないという問題が生じる可能性が高い。
- アジアの高齢化という問題は、顕在化することが想定されているにもかかわらず、まだ解決策が見つかっていない。したがって、この課題に対する解決策を打ち出すことができれば、そのしくみを輸出することで存在感を高めることができる。つまり、高齢者も豊かに暮らす社会環境を整備できた国・地域がアジアの主導権を握っていくことになると考えられる。
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