2011年10月03日

9月調査日銀短観~大企業・製造業の景況感は11改善の2、先行きは改善鈍化

総合政策研究部 常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任 矢嶋 康次

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

文字サイズ

  1. 9月短観の大企業製造業業況判断D.I.は2と前回6月調査の▲9から11ポイント改善、震災後に急ピッチで進んだ供給体制の復旧により、企業マインドが順調に回復してきた状況が顕著に示された。大企業非製造業の業況判断D.I.も1と前回から6ポイント改善した。萎縮していた消費が堅調に回復してきたことや製造業から関わりの深い業種への波及効果などが大きく寄与したとみられる。中小企業も堅調に回復、改善ペースは製造・非製造業とも大企業と遜色ないレベルとなった。
  2. 先行きについては大企業製造業ではかろうじて回復シナリオを維持したが改善ペースは大幅に鈍化。非製造業では横ばい見通しに留まっている。今後の日本経済には復興需要が期待される一方で、海外経済減速や円高の影響、駆け込み需要の反動減などが景況感の抑制要因となったようだ。景気低迷への対応力が相対的に乏しい中小企業では警戒感から悲観が強まっている。
  3. 11年度設備投資計画は対前年0.2%増と前回調査時点からほぼ横ばい。例年9月調査では中小企業において大きめの上方修正が行われる傾向があり、今回も中小企業を中心に上方修正が行われたが、大企業の下方修正が相殺。企業の設備投資に対する慎重なスタンスを反映する結果となった。11年度収益計画はわずかに上方修正されたが、計画の前提となる為替レートには実勢と大きな乖離があり、円高修正が進まなければ計画下方修正の可能性が高まりそうだ。


 
業況判断DIは大きく改善も、先行きは鈍化(大企業)
Xでシェアする Facebookでシェアする

総合政策研究部

矢嶋 康次 (やじま やすひで)

経済研究部

上野 剛志 (うえの つよし)

公式SNSアカウント

新着レポートを随時お届け!
日々の情報収集にぜひご活用ください。

週間アクセスランキング

レポート紹介

【9月調査日銀短観~大企業・製造業の景況感は11改善の2、先行きは改善鈍化】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

9月調査日銀短観~大企業・製造業の景況感は11改善の2、先行きは改善鈍化のレポート Topへ