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債券のリスク ~ 日本国債の財政リスクの影響 ~
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これまで債券には大きく3つのリスクがあると考えられてきた。「金利リスク」「信用リスク」「流動性リスク」の3つである。
しかし、最近ではこれに加えて「財政リスク」も考えなければいけないと思われる。日本の財政が悪化していることは、既にご承知の通りである。「財政リスク」は日本国債の信用度が低下するという意味で、「信用リスク」の一部とも考えられる。しかし、国債は債券マーケットで大きなシェアを占めている。単に1企業が倒産した場合のリスクとは大きく異なる問題を抱えている。そのため、ここではあえて別問題として考えていきたい。
国債の財政悪化は、債券マーケットに様々な形で影響を及ぼしている。まず第1に、債券マーケットの構成である。債券マーケット全体の構成を表す代表的な指標となっているNOMURA-BPIにおいて、国債のウエイトは大きく上昇してきている。1990年は約44%であったが、2000年には約66%になり、直近の2011年7月には76%にまで上昇している。
世界債券インデックス(シティーグループ)で直近のこの割合を見ると、約49%であるから、日本の国債占率は他国に比べても高くなっている。
第2に、債券マーケットのデュレーションが長くなってきている。デュレーションとは、金利が変動した場合の債券価格の感応度を示す指標であり、残存期間の長い債券ほど長くなる性質がある。同じウエイトの債券でも、デュレーションが2倍であれば、その感応度は2倍となりウエイトが2倍になるのとほぼ同じ意味を持つ。
つまり債券のリスク量を測るには、そのウエイトだけでなく、ウエイト×デュレーションで測る方がより実態に近い。国債は信用力が高いこともあり、他の債券よりデュレーションの長い債券を多く発行してきた。ウエイト×デュレーションベースでの債券マッケット全体に国債が占める割合は、1990年は約52%、2000年は約70%、2011年7月は80%と、ウエイトのみの占率より更に大きくなっている。
第3に、投資家の債券保有構成が変化してきている。国債占率が高まっていることに伴い、投資家の国債保有占率も当然に高まってきている。インデックス連動の投資家はもちろんであるが、銀行、生保等の機関投資家の国債占率も高まってきている。
このように日本の財政悪化は、債券マーケットに様々な変化をもたらし、投資家の投資行動も変え、その傾向は今後も更に拡大することが予想される。投資家は個々債券が抱える3つのリスクに加え、債券マーケット全体のリスクが高まっていることによる影響等も考慮し、ポートフォリオ全体のリスクを検討する必要がある。言うまでもないが、投資家が安心して投資できる財政状態に早急に戻ることが望まれる。
(2011年07月12日「研究員の眼」)
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千田 英明
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