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- 米6月FOMC、景気見通しを下方修正も、追加緩和策には言及せず
■見出し
・6月FOMCは予定通り、QE2後の緩和規模維持を表明:6月FOMCの概要
・バーナンキ議長の会見のポイント:記者会見の概要
・6月FOMC声明文の内容
・経済見通しでは、成長率を下方修正の一方、インフレは上方修正
■introduction
6月21・22日開催のFOMC(連邦公開市場委員会)では、現在の景気が予想以上に減速していると判断、成長見通しを下方修正しながらも、先行きの景気が回復に向うとの見込みから、追加の緩和策は見送った。インフレについては見通しを上方修正したが、商品価格等の上昇は一時的とし、長期的なインフレ期待は安定しているとした。
FOMC直後に発表された声明文では、現行の金融政策に変更が無いことを表明、これにより、昨年11月に発表された追加の量的緩和策(QE2=quantitative easing)は予定通り6月に終了、保有証券償還金の再投資と導入済みのゼロ金利政策の維持が決定された。いずれも市場の予想通りの展開と言える。
なお、前回から実施のFOMC後に行われたバーナンキ議長の記者会見では、6月終了の量的緩和策(QE2)は、デフレのリスク回避のために実施したものであり、現在はそうした状況では無いとしていた。市場が注目するQE3に関して現状では否定的と受け取められ、会見後の株式市場を下落させた。
結局、現状は景気が減速し失業率が高止まりする一方、インフレが上昇するなど好ましい展開とはなっていないものの、FRBでは、いずれも一時的要因によるところが大きいとしているため、今後の情報待ちの状態にある。政策的にも、当面は様子見の展開となりそうである。
こうしたなかで、市場が注目しているのはQE2終了による影響だろう。6月末には追加の資金流入がなくなる分だけ市場金利が上がるとの見方と、既に折込み済みであり、FRBの緩和スタンスが続く限りは影響が少ないとの見方に分かれる。ただし、FRBのバランスシートが膨れた分だけ充分に緩和された状況が続くこと、また、債務上限問題で国債の純増調達がストップしている状況では、直ぐに影響が出てくるわけでもない。通常オペによる金融調節の手段もあり、当面、市場に与える影響がそれほど大きくはならない見込みである。
なお、今回のFOMCの資料となる6月8日公表のベージュブック(地区連銀報告)では、12地区中4地区での景気減速を指摘する一方、残りの地域の着実なペースでの成長を報告していた。
前回同様、原油高やサプライチェーンの問題等を中心に日本の震災の影響が懸念されていた。
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土肥原 晋
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